2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ゴダールは俺の弟子だと豪語した男

ミルクマン齊藤監修『中平康レトロスペクティヴ』(プチグラパブリッシング) 2003.9.20発行。夜、ろくに「見」もせずに本棚へ突っこんでいた本を発見したので、今日はそれを取上げることにします。 「軽い快感モダニスト」といえば、森田芳光。そして、「究…

人さまざま

宇井無愁*1『きつね馬』(アルス ユーモア文學選書) 昭和二十一(1946)年八月三十日發行。 表題作のほか、五つの短篇(『お狸さん』『太った犬』『救世主降誕』『約束』『お孃さん大賣出し』)をおさめています。作者名の「宇井無愁」は、「うい・むしゅう…

父親として、政治家として

緒方四十郎『遥かなる昭和―父・緒方竹虎と私』(朝日新聞社) 2005.1.25第一刷。 緒方竹虎*1。以前もちょっとふれたことがありますが、「ポスト鳩山」と目された大政治家です。また、三木武吉、大野伴睦らとともに、「保守合同」の立役者としても知られてい…

H2Aロケット(七号機)、ようやく打上げに成功。

気になる新刊

米山寅太郎『図説中国印刷史』(汲古書院) 保阪正康『陸軍良識派の研究』(光人社NF文庫) 洲之内徹『しゃれのめす』(世界文化社) 貴田庄『レンブラントと和紙』(八坂書房) 鶴見俊輔『埴谷雄高』(講談社)

だまし、だまされ

『あなた買います』(1956,松竹) 監督:小林正樹、原作:小野稔、脚色:松山善三、撮影:厚田雄春、音楽:木下忠司、主な配役:佐田啓二(岸本大介)、伊藤雄之助(球気一平)、水戸光子(谷口涼子)、岸恵子(谷口笛子)、大木実(栗田五郎)、谷崎純(父…

鳩が飛んだ日

『鳩』(1952,松竹) 監督:野村芳太郎、製作:山本武、脚本:中山隆三、撮影:赤松隆司、主な配役:石浜朗(三浦勇)、有島一郎(父俊一)、美山悦子(姉秋子)、草香田鶴子(祖母とよ)、磯貝元男(友田一郎)、北龍二(父宗吉)、水木涼子(母千代子)、…

杜詩を文庫で読むたのしみ

鈴木虎雄・黒川洋一訳注『杜詩』(岩波文庫) まずはginzburgさんの、《書林雜記@淡路》より。 http://d.hatena.ne.jp/ginzburg/20050220とうとう来ました、吉岡さん*1…ではなくて、「岩波文庫 春の一括重版」発売日。心待ちにしておりました。 …というのは…

「〜からお預かりします」

今日は、所用あって忙しい一日だったのですが、息ぬきに、フジテレビ系列の「ライオンのごきげんよう」をみました。早見優さんが出演していて、コンビニやスーパーの店員が多用する「××円からお預かりします」という表現のおかしさについて話していました。 …

シモーヌ・シモンさん、二十二日にパリにて死す。行年九十三。

岩波書店の新刊

『岩波書店の新刊(2005.3)』より、やや気になった三冊。 品田冬樹『ずっと怪獣が好きだった―造型師が語るゴジラの50年―』 去年はゴジラ生誕五十年で、いろいろやってました。ちくま文庫からも『ゴジラ』が出ました。 堀井令以知『ことばの由来』 これは岩…

推理小説のおもしろさとは

畔上道雄『推理小説を科学する ポーから松本清張まで』(講談社ブルーバックス) 1983.4.20第一刷。 「はじめに」にあるように、 健康だけを唯一の売物にしていたわたし(畔上道雄―引用者)は、五月中旬(一九八二年)に突然背中の痛む病にとりつかれた。こ…

「白」という字は…

プロフィールにもあるとおり、元・漢字マニアです。趣味が昂じて、漢字検定一級も取得しました。しかし「元」とはいえ、今でも漢字が大好きです。ただ、マニア*1を脱却したというだけのハナシです。そこで、たまには元・漢字マニアらしく(?)、漢字の話題…

岡本喜八監督(本名:岡本喜八郎)が、きのう亡くなったそうです。享年八十一。 『日本経済新聞』には、佐藤忠男さんの話が載っています。

ただ「番外篇」を読みたいがために

保阪正康『昭和史 七つの謎 Part2』(講談社文庫) 単行本と文庫本とを、ダブりで購入することはほとんどありません。理由は簡単。それほどお金がないからです。 しかし今回とりあげた、保阪正康さんの『昭和史 七つの謎 Part2』(講談社文庫,以下『Part2』…

西部鉄道の、小柳皓正前社長が自殺。堤義明帝国の凋落。『週刊誌血風録』(12月29日の条参照)に、堤氏の豪華な結婚披露宴(p.165-170)の模様が描かれているのですが…(政財界からの重鎮がズラリ。綺羅、星のごとく居並ぶとはまさにこのこと)。ちなみに、…

愛而知其悪、憎而知其善。

楠精一郎『昭和の代議士』(文春新書) 2005.1.20第一刷。 戸川猪佐武原作、さいとう・たかを画『歴史劇画 大宰相』(講談社+α文庫,全十巻。1999.単行本:『劇画 小説吉田学校』讀賣新聞社,1988-1991)という、たいへんおもしろい漫画があります。「劇画…

ふるきよき在野の大家

日置昌一編『日本系譜綜覽』(講談社学術文庫) 1990.11.10第一刷。1936(昭和十一)年に改造社から刊行されたものを、覆刻・縮小し、若干の追補をほどこしたものです。 ひまなときに、なんとなく読みたくなる本があります。私の場合、この『日本系譜綜覽』…

あの人は「人物」だ

「人物」の好例が、トーマス・マン 関泰祐・望月市恵訳『魔の山』(岩波文庫,1988)にあります。以下に挙げるものは、主人公ハンス・カストルプが、ピーター・ペーペルコルンの人となりについて述べたくだりです。 ちなみにこのぺーペルコルンは、客観的に…

明日天気になあれ

まずは、吉田戦車さんと川崎ぶらさんの共著『たのもしき日本語』(角川文庫,2001)から。 戦車●(略)「男前」にもいろいろあるからな。 ぶら■その男前だが、元々単語自体には「良い容貌」という意味はないようなのさ。男前が上がる、男前がいいね、などと…

京都議定書がついに発効。 数値目標の不衡平性(日本は2003年比で「14%」削減)。実効による効果。米国の不参加(ブッシュ政権下ではおそらく不参加のまま)。新エネルギー転換の可能性。環境税導入の是非。 解決すべき問題も多々ありますが、日本は議長国…

古本びと、ここにあり

岡崎武志『古本生活読本』(ちくま文庫) 2005.1.10第一刷。『古本めぐりはやめられない』(東京書籍,1998)を再編集し、大幅に増補したものです。解説は、このあいだ直木賞を受賞されたばかりの角田光代さん。いきなりへんな話からはじめますが、「ちくま…

学者のユーモア

まずは、中村明『日本語案内』(ちくま新書,2000)の「あとがき」から。 序章で、日本語とその奥にいる日本人の姿を遠望したあと、Ⅱ章で発音、Ⅲ章で文字、Ⅳ章で語彙、そしてⅤ章で文法をとりあげた。当初はこのほか、意味、敬語、表現、言語変化を略述し、日…

バレンタイン・デー。私にとっては、もっとも縁遠い国民的(?)行事のひとつです。 しかしこんな折にも、大阪の寝屋川ではたいへんな事件が起きました。亡くなった先生の、ご冥福をお祈りするばかりです。

三月の新刊文庫本

三月の、注目新刊本(文庫)です。 しりあがり寿『小説 真夜中の弥次さん喜多さん』(河出文庫) 片島紀男『三鷹事件』(新風舎文庫) 猪瀬直樹『ミカドの肖像』(小学館文庫) 鈴木康允『ベースボールと陸蒸気』(小学館文庫) 森下雨村『猿猴 川に死す』(…

トランジスター・グラマー

なにか新しいものが、発明されたり輸入されたりして、日常生活に流入したときに、その語が第二義を持ち始めることが往々にしてあります。たとえば、 リボン 1907(明治四十)年ころの流行語。「目立ちたがりや」の意味です。当時、外国製のショールやリボン…

若き日の笠智衆

『花形選手』(1937,松竹大船) 監督は清水宏。いわゆる「佳作」ではないのだけれど(撮り方は上手いのでしょうが、脚本があまり良くありません)、明るくて愉しい作品です(もちろん、明るいシーンばかりではないのですが)。行軍演習がテーマだから、ふつ…

小津的な、あまりに小津的な

丸山健二『夏の流れ』(『文學界』,1966.11) 第二十三回文学界新人賞を受賞。翌年、第五十六回芥川賞(一九六六年下半期)を受賞。文藝春秋などから刊行されていましたが、入手困難になっていました。今回、本作品も含む丸山氏の初期の中短篇が講談社文芸…

読み物ふう辞典を掌中に

三省堂百科辞書編集部『婦人家庭百科辞典(上)(下)』(ちくま学芸文庫) 昭和前期の百科辞典*1が、なんと文庫本になりました。たいへんヴォリュームのある本です。解説は、文庫版『言海』とおなじく、武藤康史さん。 百科辞典というよりも、むしろ貴重な…

サッカーのワールドカップ予選、日本対北朝鮮。二対一で、日本の辛勝。