2006-01-01から1年間の記事一覧

『波の塔』のことなど

録画していた松本清張ドラマスペシャル『波の塔』(TBS系列)を見た。小泉孝太郎の演技は以前とくらべるとずい分よくなっている(四十六年まえに、映画版『波の塔』(監督は中村登)で小野木を演じた津川雅彦は、小泉の演技を「僕よりも巧い」と絶賛したそう…

『竹取物語』

「すんげー!*1ベスト10」時代(十一、二年前)の「スミス夫人」「君と僕」「シェイクダウン」あたりが懐かしいから、『M-1グランプリ』で「ザ・プラン9」を応援する(チュートリアルも好きなので応援)。とくに久馬が好き。「二丁目ワチャチャ劇場」全盛期…

CDも買いたいけれど。

青島幸男、岸田今日子、中島忠幸(カンニング)の訃報を知る。仲谷昇、岸田今日子は元夫婦である。同年に亡くなったわけである。なにか不思議な因縁を感じる。 岩波の青島幸男の新刊、買おうかな。どうしよう。 「晩鮭亭日常」で、この十二月にCDを百枚(!!…

索引のない本なんて。

高木市之助述 深萱和男録『尋常小学 国語読本』(中公新書)を読んで、ずい分まえに読んだ高木市之助『国文学五十年』(岩波新書)*1を再読したのだけれど(五高在職時の話も、『国語読本』よりは詳しいので)、人名や書名がワンサカ出て来るこういう本には…

『映画が目にしみる』など

出かける用事があったので、ついでに小林信彦『映画が目にしみる』(文藝春秋)を買って来る。 カフカ 池内紀訳『失踪者』(白水uブックス)読了(再読に非ず)、これは救済の物語だと思いたい。『週刊新潮』をよむ。p.149に品川力さんの記事が。「102歳で大…

赤線と青線

三日まえに観た『洲崎パラダイス・赤信号』の記事で、「赤線」「青線」というコトバにふれた。この言葉について書いてある本が、夫々どういう説明をしているのか気になったので、ちょっと調べてみた。出来れば、一次資料に当るべきなのであろうが、取り敢え…

やはり、傑作!

川島雄三『洲崎パラダイス・赤信号』(1956,日活)を観た。大傑作である。 原作は芝木好子の『洲崎パラダイス』で、そう云えば溝口健二の遺作『赤線地帯』も、芝木好子の『洲崎の女』が原作なのであった。『洲崎〜』は『赤線地帯』と同じく、売春防止法の発…

新村出と高峰秀子

昨日、高峰秀子『わたしの渡世日記(上)』(文春文庫)を部分再読したのだが、この本には、高峰の大ファンだった晩年の新村出の話が出て来る(「神サマのいたずら」pp.174-87)。高峰はまず、「新村出博士にお目にかかったのも、京都に旅行中の谷崎潤一郎夫…

『雷親爺』を観る、その他

今さらながら、アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン著 田崎晴明ほか訳『「知」の欺瞞―ポストモダン思想における科学の濫用』(岩波書店)を読んだ。黒木玄氏のウェブサイト(こちらは確か「すっとこどっこい言語学」経由で知った)、東浩紀『郵便的不安た…

キャンディーズ特番

香川京子がゲストだったので(出演は八年ぶりとか)、久々に「徹子の部屋」を見る。また、夜は、NHKの「キャンディーズ」特番を一時間ほど見る。「普通の女の子に…」と三人が泣き崩れる例の劇的瞬間を(都はるみは後に「普通のオバサンに…」と云った)、テレ…

森鷗外『百物語』とその周辺

研究会のため京都へ。大阪では某先生とお会いする。嬉しい話有。 帰途、T書店で樺山紘一『西洋学事始』(中公文庫)を拾う。 そう云えばこのあいだ、O.T.さんと森鷗外『百物語』について少しお話ししたのであるが、そのときには述べられなかったことや(再読…

最近の収穫など

最近の収穫。小林信彦『小林信彦60年代日記』(白夜書房)、尾崎一雄『二月の蜜蜂』(成瀬書房)はいずれも頂き物。そのほか、小沢信男編『犯罪百話 昭和篇』(ちくま文庫)200円、田中貢太郎『日本の怪談』(河出文庫)200円などをワゴンセールで拾った。 …

実相寺昭雄、木下順二…

追悼・実相寺昭雄。ということで、『ウルトラマン誕生』(ちくま文庫)を読もうかと捜すが、見当らず。本棚に入れていたはずなのだが。しかし六十九とは、いかにも若い。まだ働きざかりだったというのに。しかも、ちょうど昨日(というか今日の深夜)、『シ…

頂き本と気になる歌のこと

このあいだ『小津安二郎作品集』を下さった方(父の知人)から、今度は戸板康二『午後六時十五分』(三月書房)を頂いた。それも「五十部限定特装本」で、シリアルナンバー・署名・識語入なのである。本当に良いのだろうか。『午後六時十五分』は見たことの…

小林一三の逸話

用事いろいろ。某先生の貸して下さったCDを聴いて楽しむ。 百均で拾った清水雅『小林一三翁に教えられるもの』(梅田書房)をパラパラとやっていたら、その口絵に、小林翁とトニー谷が並んで写っている写真があった。昭和三十一年の楽屋スナップだそうだか…

小津作品集を頂く

仲谷昇の訃報。その存在を意識するようになったのは『青い鳥』以降であったが、初めて観た出演映画は『悪魔が来りて笛を吹く』だったと思う。中平康『砂の上の植物群』は大傑作だとおもうが、人によって評価は分れるだろう。ごく最近再見した『疑惑』にも出…

『日本語の歴史』が…。

某古書肆の棚には、平凡社の『日本語の歴史』(七巻と別巻一巻の全八巻)がずっと置かれてあるのだが(八千円)、まったく売れるけはいがない。 私は第二巻の「文字とのめぐりあい」が特に欲しくて、分売してくれないものだろうか、と思っていたのだが、古書…

トニー谷の『家庭の事情』

この一週間強のできごと。帰阪。演習発表(とは呼べないシロモノ)ふたつ。熱を出して倒れる。寝込む。学会へは行かず(行けず)。購書。読書。 体力および食欲が回復しつつあったころ、「家庭の事情」シリーズ四本を観た。小田基義『家庭の事情 馬ッ鹿じゃ…

帰熊

11.2(木) 晴。午まえ、熊本に着く。関西よりもずっと暑い。 熊日が、白川先生の逝去に対する谷川健一・石牟礼道子両氏のコメントを掲載している。お二方とも熊本出身で、確か『回思九十年』では白川先生と対談をされているはず。 Aにて午食。Y〜S〜Rと…

白川静逝去

Gさん経由で、白川静博士の長逝を知り、ショック… ふたことみことだけでも、研究の話が出来たのは幸せだったのかもしれない。それから、あのあたたかい両手で、握手をしてくださったことも。 白川先生のお名前を初めてみかけたのは、『字通』の予約販売広告…

小波と須磨子

山口昌男『「敗者」の精神史(上)』(岩波現代文庫)を読んでいたら、「(巖谷小波は―引用者)二十二年紅葉館で須磨子と親しんだ」(p.357)とあり、おやと思う。巖谷大四『波の跫音―巖谷小波伝―』(新潮社)の「年譜」には、「明治二十三年(一八九〇)」…

『愛書家の散歩』も気になるけれど

十一月のあたまに父と帰熊することになったので、演習準備が大変なことになってしまった。自業自得。 息抜きに、寺田透編『露伴随筆集(下)言語篇』(岩波文庫)を少し。出久根達郎『風がページをめくると』(ちくま文庫)も少し。また、『定本 庄司淺水著…

花袋の回想記

田山花袋『東京の三十年』(岩波文庫)再読。「私たちは歌の百首よみなぞをした。O、I、Tなどという人々が段々そのグルウプの中にいた。柳田国男君がまだ十四、五で、非常な秀才で、丁度その時下谷の御徒町の兄の井上通泰氏の許にいたが、そこをSと私とが訪…

本屋に入ると。

新刊書店に入ったら、店内に置いてある宣伝用のテレビから、いきなり「ベートーヴェンの第七番交響曲」(第一楽章)が大音量で流れ出したので、一体何なんだと目をやると、TVドラマ版「のだめカンタービレ」の宣伝だった。あー、なるほど。私は全然見ていな…

中公文庫解説総目録

『白川静 桂東雑記Ⅳ』(平凡社)に、「橘曙覧の短歌史上の位置について」という福井での講演をもとにした文章が収められてあって、そこで白川氏は、「私は曙覧の文学の本質は、『万葉』という非常に古い時代と、幕末のいよいよ開花する、幕藩体制というもの…

何が彼をさうさせたか

巖谷大四『波の跫音―巖谷小波伝―』(新潮選書)を再読するが、ディテイルが気になって、なかなか読み進めることが出来ない。じつはいま、言文一致体と雅俗折衷体をすこし調べていて、尾崎紅葉がなぜ「雅俗折衷体」から「言文一致体」――柄谷行人氏は、言文一…

『砂の器』をデフ放送で

デフ放送、つまり聴覚に障碍のある人むけの放送で、野村芳太郎『砂の器』(1974,松竹)を観たのだけれども、これが、ちょっと、ひどかった。加藤剛が「宿命」を延々と演奏する舞台に回想の重なるシークェンスに、「演奏はクライマックス」「静かだが曲は続…

フォーラム

また風邪をひいた。一晩ぐっすり眠ると、ほぼ治った。 文字研第三回フォーラム「漢字と国語―その歴史と教育―」に参加するため京都へ。 ちょいと空き時間があったが、古本屋街へ行く時間はなかった。しかし、お供本の本田靖春『疵――花形敬とその時代』(文春…

近刊文庫

来月、藤堂明保『漢字の起源』(講談社学術文庫)が出るらしいが、ほかにも、佐藤武敏『中国古代書簡集』(講談社学術文庫)や山前譲『文豪の探偵小説』(集英社文庫)、井伏鱒二 舟橋聖一ほか『シリーズ私の履歴書 文士の肖像』(日経ビジネス人文庫)など…

赤玉ポートワインのポスター

赤玉スイートワインを初めて飲んでみた。もとの名称を「赤玉ポートワイン」といい(さらに遡れば「向獅子印甘味葡萄酒」)、母などは未だに「ポートワイン」と呼んでいる。サントリーが、「sun(=赤玉)+鳥井」に由来することは知っていたけれども、ポート…