2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

小波と須磨子

山口昌男『「敗者」の精神史(上)』(岩波現代文庫)を読んでいたら、「(巖谷小波は―引用者)二十二年紅葉館で須磨子と親しんだ」(p.357)とあり、おやと思う。巖谷大四『波の跫音―巖谷小波伝―』(新潮社)の「年譜」には、「明治二十三年(一八九〇)」…

『愛書家の散歩』も気になるけれど

十一月のあたまに父と帰熊することになったので、演習準備が大変なことになってしまった。自業自得。 息抜きに、寺田透編『露伴随筆集(下)言語篇』(岩波文庫)を少し。出久根達郎『風がページをめくると』(ちくま文庫)も少し。また、『定本 庄司淺水著…

花袋の回想記

田山花袋『東京の三十年』(岩波文庫)再読。「私たちは歌の百首よみなぞをした。O、I、Tなどという人々が段々そのグルウプの中にいた。柳田国男君がまだ十四、五で、非常な秀才で、丁度その時下谷の御徒町の兄の井上通泰氏の許にいたが、そこをSと私とが訪…

本屋に入ると。

新刊書店に入ったら、店内に置いてある宣伝用のテレビから、いきなり「ベートーヴェンの第七番交響曲」(第一楽章)が大音量で流れ出したので、一体何なんだと目をやると、TVドラマ版「のだめカンタービレ」の宣伝だった。あー、なるほど。私は全然見ていな…

中公文庫解説総目録

『白川静 桂東雑記Ⅳ』(平凡社)に、「橘曙覧の短歌史上の位置について」という福井での講演をもとにした文章が収められてあって、そこで白川氏は、「私は曙覧の文学の本質は、『万葉』という非常に古い時代と、幕末のいよいよ開花する、幕藩体制というもの…

何が彼をさうさせたか

巖谷大四『波の跫音―巖谷小波伝―』(新潮選書)を再読するが、ディテイルが気になって、なかなか読み進めることが出来ない。じつはいま、言文一致体と雅俗折衷体をすこし調べていて、尾崎紅葉がなぜ「雅俗折衷体」から「言文一致体」――柄谷行人氏は、言文一…

『砂の器』をデフ放送で

デフ放送、つまり聴覚に障碍のある人むけの放送で、野村芳太郎『砂の器』(1974,松竹)を観たのだけれども、これが、ちょっと、ひどかった。加藤剛が「宿命」を延々と演奏する舞台に回想の重なるシークェンスに、「演奏はクライマックス」「静かだが曲は続…

フォーラム

また風邪をひいた。一晩ぐっすり眠ると、ほぼ治った。 文字研第三回フォーラム「漢字と国語―その歴史と教育―」に参加するため京都へ。 ちょいと空き時間があったが、古本屋街へ行く時間はなかった。しかし、お供本の本田靖春『疵――花形敬とその時代』(文春…

近刊文庫

来月、藤堂明保『漢字の起源』(講談社学術文庫)が出るらしいが、ほかにも、佐藤武敏『中国古代書簡集』(講談社学術文庫)や山前譲『文豪の探偵小説』(集英社文庫)、井伏鱒二 舟橋聖一ほか『シリーズ私の履歴書 文士の肖像』(日経ビジネス人文庫)など…

赤玉ポートワインのポスター

赤玉スイートワインを初めて飲んでみた。もとの名称を「赤玉ポートワイン」といい(さらに遡れば「向獅子印甘味葡萄酒」)、母などは未だに「ポートワイン」と呼んでいる。サントリーが、「sun(=赤玉)+鳥井」に由来することは知っていたけれども、ポート…

公開講座

午前中に家を出る。関西大学の読書公開講座「『雑書』探索を極める」に参加するため。紅野敏郎さんと山野博史さんとの対談。 以下は出て来た本(おぼえているものだけ)。斎藤茂吉『万葉秀歌』。鈴木鼓村『耳の趣味』。龍渓矢野文雄『龍渓随筆』。野尻抱影・…

深代惇郎の日記

坪内祐三『考える人』(新潮社)の「深代惇郎」の章に、こうある。「深代惇郎と、それ以後の『天声人語』の違いは、端的に言って、教養の違いです。ただ教養があるかないかということではなく、より具体的に述べれば、教養のふところの深さの違いです」(p.1…

最近読んだ本

夕方から雨。 このところ、暇暇に読む本がどれもこれも――古本・新本をとわず――「アタリ」で、ますます読書のスピードが上がっている。しかも、何かしら用事に追われているときほど読書が捗るというこの逆説。 ここ数日間で読んだ本。岩瀬彰『「月給百円」サ…

女優うちあけ話

出費がかさむ。某フォーラムの参加費と懇親会費。雑費(ノート、ヴィデオテープ、接着剤など買う)。だが、嬉しい出費も幾つか。たとえば阪急三番街で、『時代別 国語大辞典【上代編】』(三省堂)4000円、富士正晴『紙魚の退屈』(人文書院)600円。 森赫子…