2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

小谷野氏の新刊から

小谷野敦『反時代的考察 なぜ悪人を殺してはいけないのか』(新曜社)を読んでいる。N君がその存在を教えてくれた「『今上天皇』という語」も入っているし、江戸幻想を批判した文章も入っている。私は、ポストモダンの余燼さえ受けようとしなかったから、一…

「黒シリーズ」最終作

朝、増村保造『黒の超特急』(1964,大映)を観た。二回目。「黒シリーズ」最終作である。 小説の「黒シリーズ」というと、松本清張を想起してしまうが*1、映画にもそのような一連のシリーズ(二重表現?)が存在する。増村保造『黒の試走車』(1962,大映)…

雪たたき

柳瀬尚紀編『日本の名随筆 別巻74 辞書』(作品社)に、紀田順一郎「存在しない語彙」という文章が収めてある(pp.208-10)。この文章は元々『奥付の歳月』(筑摩書房1994)に収められていた。そこに「雪たたき」なる語の話が出て来る。「戦後この語彙*1をは…

川田晴久関連書

地球の上に朝がくる―川田晴久読本作者: 池内紀出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/09メディア: 単行本 クリック: 56回この商品を含むブログ (4件) を見る 川田晴久と美空ひばり―アメリカ公演作者: 橋本治,岡村和恵出版社/メーカー: 中央公論新社発売…

惜別カラオケ

修了式、学位記授与式。夕刻より惜別会。 二次会では二曲歌ったが、一曲目がジュディ・オング「ひとひらの雪」。曲自体が好きで、歌詞はたいして憶えていなかったのだが、それがいけなかった*1。けっこう煽情的な歌詞なのである。少なくとも、女性のいる前で…

追悼番組

TV

途中からだが、NHK総合の「ありがとう宮川泰さん」を見た。服部克久氏、前田憲男氏、川井郁子氏が出ていた。川井郁子はやはり美人だ。女優と見紛うほどだった。宮川彬良氏もインタビューにこたえていた。 録画しておけばよかった。

購書

ABで、山崎正和『おんりい・いえすたでい'60s―脱産業化の芽生えたとき』(文春文庫)100円、浮谷東次郎『オートバイと初恋と―わが青春の遺産』(ちくま文庫)100円、橋本治『江戸にフランス革命を!(中)―江戸はなぜ難解か』(中公文庫)250円を購う。浮…

富田常雄の評伝

よしだまさし『姿三四郎と富田常雄』(本の雑誌社)を読む(まだ途中)。富田常雄には、伊皿木恒雄(または恒夫)、日夏桓夫(「恒夫」ではない)、富田常次郎(これは富田の父の名前でもある)など様々のペンネームがあったそうだ。 富田が『柔』を東京新聞…

研究室で

殺伐とした雰囲気の某紀要を読んだ後、『野口冨士男文庫8』を手に取ってみる。「野口冨士男日記抄『風景』をめぐって」をつい読み耽ってしまう。また、日記抄の全文(というのも妙な表現だが)をついつい読んでしまう。小冊子には、平井一麥氏の「特別寄稿…

「大漁」

くうざん本を見る経由できょうのことばメモを見て、思い出したこと。 その画像にみえる欄外の「名文・名句」は、金子みすゞの『大漁』からの引用である。わたしはこの詩を、たしか小学六年生のときに習ったと記憶している。その全文を挙げるならば次の如くで…

物理学の黎明

このところ、新書を二日に一冊のペースで読み飛ばしている。今日読み終えたのが、馬場錬成『物理学校―近代史のなかの理科学生』(中公新書ラクレ)。たいへん面白かった。 東京理科大学の前身、「東京物理学校」の誕生から閉鎖までを追ったノンフィクション…

絹代のおかあさん

深夜に、成瀬巳喜男『おかあさん』(1952,新東宝)を観た。助監督は石井輝男。「母」としての女性にフォーカスを合わせるという意味で成瀬らしからぬ作品だが、たいへんな傑作である。成瀬&水木洋子コンビ最初の作品でもある。 田中絹代が、香川京子(福原…

購書日乘

3.12(日) 散髪。Kにて、長山靖生『「日本の私」をやり直す』(中公新書ラクレ)購う。直ぐに読み終えた*1。保革のねじれ。「清貧」「本当の自分」なる欺瞞。中公新書ラクレのある本を批判したくだりがあって可笑しい。しかし的を射ている(私も、ひどい本…

案内状…

Kちゃんが来るので、掃除などする。 某所より案内状が届くが、中身の宛名が別人になっていた。各人によって内容に相違があるわけではないから、問題はないのだけれど、少し妙な気分だ。中身を取り違えられたのは、二人だけだろうか。

ハーンのエッセイ集

ラフカディオ・ヘルン 平井呈一訳『東の国から―新しい日本における幻想と研究―(上)(下)』*1(岩波文庫)を読んだ(まだ、下巻の「横濱で」を読み終えたところなのですが)。今回の「春の一括重版」に入っているもので、これが二度目の重版であるらしい。…

オリジナル文庫

ちくま文庫編集部編『ちくま文庫解説傑作集』(ちくま文庫)が届く。 まだ全部に目を通したわけではないが*1、小沢昭一「落語と私」(麻生芳伸編『落語特選・下』の解説)と坪内祐三「贅沢な旅」(小沢昭一『ぼくの浅草案内』の解説)に、川島雄三『幕末太陽…

回収絶版

早すぎた発見、忘られし論文 常識を覆す大発見に秘められた真実作者: 大江秀房発売日: 2004/11/01メディア: ペーパーバック クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見るAnecdote of female scientists were abandoned from women Nobel Prize have bee…

四月の新刊文庫

来月も、気になる本がたくさん出るみたい。 冨森叡児『戦後保守党史』(岩波現代文庫)1155円 尾藤正英『江戸時代とは何か―日本史上の近世と近代』(岩波現代文庫)1155円 南博『日本人論―明治から今日まで』(岩波現代文庫)1470円 エドガー・アラン・ポオ …

とか何とか言っちゃって♪

西村元男『こんな別嬪見たことない』(1954,大映。以下、映画名は「別嬪」と略す)、西村元男『こんな美男子(ハンサム)見たことない』(1954,大映。以下、映画名は「美男子」と略す)を観た。何れも四十数分間の小品。また同年に、『こんなアベック見た…

「タイトル」の話で

思い出したのが、佐々木健一『タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学―』(中公新書)。フーコー好きのA先生がぜひに読むべしと仰っていたので、買って読んだ。個人的には、ゴヤやゴーギャンの出て来る第六章を面白く読んだが、第一二章に、デュシャンの…

回文

TV

このあいだ、Tさんが、『名探偵コナン』の「面白さ」を力説しておられたので、ちょっと見てみる積りでテレビをつけた(コナン*1は、八年ほど前まではよく見ていたのだが、最近は見ていなかった)。 タイトルが、「コナン変な子」という回文だったので*2、ま…

ネオ・レアリスモ

ヴィットリオ・デ・シーカ『自転車泥棒』(1948,伊)を観た。デ・シーカといえば、後年の『恋人たちの場所』『ひまわり』等のほうが有名かもしれないが、本作品は、『靴みがき』と共にネオ・レアリスモを確立した作品であると称されている。 舞台は、第二次…

タイトル、長すぎる。

本棚から、野口悠紀雄『「超」勉強法』(講談社)*1が出てきたのだった。 同書のコラム(「コーヒーブレイク」)を眺めていたら、「異常に長いタイトルの本」というのがあった。読んだ記憶すらない。それによれば、「最近の経済学の論文では、主要な結論を冒…

誤って

ページビューをリセットしてしまった。

鶴田浩二!

大曾根辰夫『殺人鬼』(1949,松竹大船)を観た。脚本は新藤兼人。前半は、二転三転する証言群から再構成されており、そのプロットは黒澤の『羅生門』(芥川龍之介『藪の中』)、あるいはサルトルの『歯車』(残念ながら映像化はされていない)を想起させる…

枕頭の書

すこしお金が入ったので、欲しかった櫛笥節男『宮内庁書陵部 書庫渉獵(ふみくらしょうりょう)―書写と装訂―』(おうふう)を購う。書名の「渉獵」だが、なぜ「獵」のみ旧字体で、「渉」は一画減じていないのだろうか。 それはともかく、この本は平成十四年…

久世光彦

つひにゆく道とはかねてききしかど きのふけふとは思はざりしを 久世光彦死去の報に驚く。ついこのあいだ、「爆笑問題のススメ」に出演されたばかりなのに。自宅で倒れていたのだそうだ(死因は虚血性心不全とか)。享年七十。 奇しくも、最後(?)の「大遺…

ローマン派

熱心なクラシックファンである佳人M.S.さんは時々、メニューインのヴァイオリンが聴きたくなるという。私が時々聴きたくなるヴァイオリンといえば、ギル・シャハム(きまってグラモフォン)、アルテュール・グリュミオー(きまってPHILIPS)あたりであろう…

古本市場で

娯楽のために読む本を確保。 ・長尾三郎『マッキンリーに死す』(講談社)105円 ・本田靖春『日本ネオ官僚論』(講談社)105円 ・中野翠『私の青空』(文春文庫)210円 ・萩原葉子『燃えるアダジオ』(中公文庫)210円 ・沢村貞子『わたしの茶の間』(光文社…