2008-01-01から1年間の記事一覧

行く年来る年

■ことし観た映画(*は複数回鑑賞したことのある作品) 山崎貴『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)、*ルイス・ブニュエル『アンダルシアの犬』(1928仏)、杉江敏男『サラリーマン忠臣蔵』(1960)、杉江敏男『続サラリーマン忠臣蔵』(1961)、*小津安二郎『…

ポール・ペリオの無断(?)引用

東洋学の創始者たち (1976年)作者: 吉川幸次郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 1976メディア: ? クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 石田(幹―幹之助。引用者) (略)先生(白鳥庫吉―引用者)方や桑原隲蔵さんや何かの日本文で発表された研究…

シキを語る

■「シキを語る」、といっても、岩波文庫には河東碧梧桐*1『子規を語る』・宮崎市定『史記を語る』の二種が入っていて、私はその後者を文庫ではなく新書(岩波新書の黄版)で読んでいる。宮崎市定を読めとすすめて下さったのはA先生で、最初に読んだのが『中…

最近の入手本から

■古本(ここ三箇月) ・青木英夫『下着の文化史=おしゃれは下着から=』松澤書店、昭和三十二年 新書版、105円。巻末に附録「下着辞典(事典)」。こないだMさんが、古本屋で青木英夫の『下着の文化史』という本を買ったというので、それは雄山閣のものかと…

やなぎだくにお?

■柳田國男『西はどつち―國語變遷の一つの例―』(甲文社)*1は昭和二十五(1950)年刊で、大きめの検印紙には篆文で「甲鳥書林」の四字が(新村出『ちぎれ雲』甲鳥書林刊の検印紙もこれと同じタイプ)。しかしたとえば、三宅周太郎『演劇手帳』(甲文社)の検…

女と味噌汁

■駐日オランダ大使にして中国学者である、ロバート・ファン・ヒューリック(中国名:高羅佩、1910-67)の「狄(ディー)判事」*1シリーズ第一作が遂にポケミスで出た。題して『江南の鐘』。原題は“THE CHINESE BELL MURDERS”で、1989年刊(三省堂)の松平い…

初ちょうちょぼっこに山城新伍

■某日。旧友たちと難波で会うことになったので、「古本と男子」が開催されている貸本喫茶ちょうちょぼっこに寄る。ちょうちょぼっこは実は初めて。M堂で新村出『ちぎれ雲』(甲鳥書林)*1、結城信一『作家のいろいろ』(六興出版)、古本オコリオヤジで小沼…

旅行のことなど

■乱歩ブーム再燃? 立教大学大衆文化研究センターの『大衆文化』創刊を始め*1、平井隆太郎氏の『乱歩の軌跡』(東京創元社)刊行、角川ホラー文庫による短篇集(これはさして目新しいものではないが)の刊行開始など、このところ乱歩が人気である。 今月、千…

ORC200

■ORC200他(七月一日〜) 金田一京助編『三省堂国語辞典』三省堂(1970.1.20.初版第八十四刷←新装版反映)100 岡本綺堂『修禅寺物語』角川文庫100 「角川文庫解説目録」(1978.8)100 石川淳『おとしばなし集』集英社文庫100 獅子文六『信子・おばあさん』主…

OMM

■『考える人』の特集があちこちで紹介されているので、それに関連して。「評伝」で特に私の気に入っているもののひとつに真山青果『随筆滝沢馬琴』(岩波文庫、2000)が有る。学界でこの「随筆」の評価がどうなっているのかは寡聞にして知らないのだが*1、こ…

本が煽動する

■岡崎武志と山本善行『古本屋めぐりが楽しくなる 新・文學入門』(工作舎)のサイン本*1を某所にて落手したのだが(結局催しには行けずじまいだった)、やはり期待どおりの、というかそれ以上のおもしろさで、これをきっかけとして、まずは吉田健一『書架記…

最近の購書

■最近の主な購書(四月下旬〜五月下旬)フォントブック[和文基本書体編] (+DESIGNING)作者: 祖父江慎出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ発売日: 2008/05/23メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 134回この商品を含むブログ (21件) …

岩本素白の随筆ふたたび

鶴ヶ谷真一『月光に書を読む』(平凡社)の「あとがき」に、「本はなによりもゆっくりと読まなければならない。読書のしずかな喜びも、発見も批評も、ゆっくりと読むことから生れてくる」(pp.227)とあるが、この本自体、ゆっくり読むのに適している。 細切…

近況…

■近況 三月二十日 谷口千吉追悼番組枠で『銀嶺の果て』観る。黒澤明脚本(これが「隠し砦の三悪人」のモティーフにつながる)。若山セツ子がいい。志村喬‐三船敏郎コンビは、もしリメイクするなら柄本明‐佐藤浩市コンビあたりが妥当か。また、「未来講師めぐ…

巳は上に…

◆『サライ』四月三日号の特集、いいですね。森史朗『松本清張への召集令状』(文春新書)も一緒に。清張は来年、いよいよ生誕百年を迎える。 - ◆「己」「已」「巳」三字の区別に関する“漢字口唱記憶法”の小異。 「巳(み)は上に、已(すで)に已已(やむの…

ショーケン、映画、…

ショーケン作者: 萩原健一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/03/14メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 85回この商品を含むブログ (44件) を見る◆著者自装本。最近、ダーティなイメージしかなかったショーケンだけれども、「ショーケン」の綽名の由来か…

武藤康史『文学鶴亀』

◆昨日ジュンク堂に立寄る時間があったので、武藤康史『文学鶴亀』(国書刊行会)を購った。文学鶴亀 [ 武藤康史 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 文学 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 2,376円そう云えば猪川まこと氏が、か…

この人の書斎が見たい

◆落込むこと多々あり、出たついでに気分転換するのもいいか、と某書店に立寄る。復刊された三冊本の『玉台新詠集』(岩波文庫)、それから武藤康史*1『文学鶴亀』(国書刊行会)でも見てみようかなと。後者については、けさの朝日新聞広告欄に、ボウエン『エ…

彼らは何処で「恋」を覚えたか

◆君山狩野直喜の著作について、倉石武四郎『本邦における支那學の發達』(汲古書院)は、「先生は平生、著作を公にされず、わずかに「支那学文藪」昭和二年1927あるのみである」(p.91)と書いているが、これは昭和二十一年の時点であって、翌年には、前著の…

上林曉『入社試驗』から

◆動く芥川龍之介をみたことがある。たしか『映像の世紀』だったとおもう。上林曉『入社試驗』(河出新書、1955)を読んで、それが改造社版「現代日本文學全集」の宣伝用フィルムの映像であることを知った。「思ひ出すままに畫面の印象を記せば、徳田秋聲氏は…

天神さんの古本市

◆朝出る、お供本は柏原兵三『長い道』(中公文庫)。柏原はこの作品で芥川賞をとりたかったらしい。文章も、実に素直な感じがして、好感がもてる。藤子不二雄Aの漫画『少年時代』、篠田正浩の同名映画*1の原作であるせいか、郷愁とか懐古趣味とかいった側面…

花田清輝がなぜかおもしろい

[rakuten:book:12781197:detail] ◆アドラー/ドーレン『本を読む本』をかなり参考にしているようだ。 『本を読む本』は、今週号の『週刊 ダイヤモンド』でも、勝間和代が「良書50冊」のうちの一冊として選んでいた。もっとも、「自己啓発」本として扱われてい…

邦訳『水滸伝』

本は10冊同時に読め! (知的生きかた文庫) [ 成毛真 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 文庫・新書 > 文庫 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 575円アクの強い読書論だし、この「読書絶対主義」(しかも選民思想ぽい)には反撥も多かろうし、また、「受…

入試現代文

◆「そうてい」おぼえがき(情報の御提供求む) 田中敬「『さうてい』字義考」(『汲古隨想』早川図書,昭和八年→昭和五十四年覆製版) 「通雅に「以葉子装釘謂之書本」の語が見えて居るから少くとも明代には(「装釘」が―引用者)既に用ひられて居たことが知…

二代目『印刷雑誌』創刊九十年記念本

『印刷雑誌』とその時代 実況・印刷の近現代史 [ 印刷学会出版部 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 9,288円機を逸した感もあるが…… 「近代印刷史歴覧」「『印刷雑誌』記事集成」の二部構成。その第二部から。 今井直一「…

「どこかで見かけたような表現だ」とおもったら。

そこに一冊の阿久悠があるかぎり、私たちの人生の辞書に「退屈」の二字はない。 (篠田正浩 齋藤愼爾責任編集『阿久悠のいた時代―戦後歌謡曲史』柏書房2007,p.125.阿久悠『飢餓旅行』講談社文庫版、郷原宏「解説」1993) だが、手許に一冊の清張短編集があ…

「原敬る」

和田垣謙三『兎糞録』(至誠堂書店、大正二年七月十四日初版発行、大正九年二月十九日四十版)より。 五六 原敬る 力士伊勢濱、寒玉子と申合ひ、互に土俵の砂を蹴立てゝ手に汗を握らしめしが、如何なる機(はづみ)にや、伊勢は誤つて玉子の腹部をしたゝか蹴…

「『ちょいと』お待ちよ車屋さん」

「ちょいと、これをごらんよ」と言ったら、知人が笑いだした。「ちょいと」が、おかしいと笑う。 「しかし、間違った遣い方ではないはずだが?」「間違ってはいないが、普通は、ちょっと、だろう。ちょいと、は古風だよ」 指摘されて気がついたが、これは私…

「句読法」若干

野元菊雄「区切り符号の用法」(『月刊言語』一九七五年九月号,大修館書店)に、「これら(「?」や「!」―引用者)は句点と同じ扱いですから、そのあとに句点はいら」ないとある。また最近では、講談社校閲局編『日本語課外講座 名門校に席をおくな!』(…

相米慎二、井上陽水…

◆関西限定の話題だが、「CINEMAだいすき!」(よみうりテレビ=日本テレビ系列)の第六十八集は、「相米慎二監督特集」なのであった。 このことは、映画が観られないこの正月にあって、たいへん嬉しく思いがけない出来事であった。無論、数作品はHDRに録画し…