2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

人生劇場

古典は読まれざる名作である、ということを最初に言ったのは誰だろうか。マーク・トウェインが、「古典/みんな/ほめる/だけで/読みは/しない/ご本」(大久保博編訳『ちょっと面白い話』旺文社文庫,p.6)と書いており*1、これなどはその古い例かとおもわれる…

「あらかわそうべえ(そうべい)」のかな表記は幾通りあるのだろうか、と以前からちょっと気になっていたが、そういえば『外來語辭典』(弘文堂アテネ文庫)は「あらかわ そおべい」であった。(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20100502/p2参照) 惣郷…

清張好み(5)

■『梅雨と西洋風呂』(文春文庫ほか) ああ、何という陰気な風呂だと、四角い木製風呂の中に浸って義介はあたりを眺めまわした。小窓のガラスに蒼白い朝の光が映っている。それでも昔ふうなこの浴室は夜のように暗い。柱は太く、煤けている。無神経そのもの…

二十にして心已に朽ちたり

「離騒」につづいて、「庚寅ネタ」(?)をひとつ。鬼才・李賀(長吉)の「長安有男児 二十心已朽(長安に男児有り 二十にして心已に朽ちたり)」(贈陳商)という一節は、賀みずから身の不遇をかこったものであり、しばしば引用されるから、よく知られると…