2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

追悼・三浦哲郎

三浦哲郎が亡くなった。享年七十九。『忍ぶ川』は、熊井啓監督の映画を観てから、三浦氏の原作を読んだ。だから、作中人物の声が、栗原小巻の、あるいは加藤剛の声とだぶって聞こえ、そのイメージからついに逃れられなくなってしまったのだが、それは映画が…

待てば海路の

あの伝説の二畳庵主人(実は加地伸行先生)著『漢文法基礎』(増進会出版社)が復刊されるようだ。某掲示板で知った。 「復刊ドットコム」では三百票以上集めていて、オークションやアマゾンのマーケットプレイスでも数万円の値がつくほど人気があり、「幻の…

典拠のある妖怪・ない妖怪

いま神戸の兵庫県立美術館で、「水木しげる妖怪図鑑」がやっている。松屋銀座で開催中の「ゲゲゲ展」*1に展示されている妖怪画(磯女、一目連、海月の火の玉、児啼き爺、すねこすり、セコ、遺念火、細手、夜行さん等々)とあわせると、かなりの数の妖怪画が…

渋谷大古本市

某ワークショップ*1等に参加するため上京。ついでに、「東急東横店渋谷大古本市」にも行ってきた。大阪の古書会館で目録を貰っていたので、すこし気になっていた。 初日、しかも開店と同時に入った。関西の古本市でも、開店時に入ったことはなかったので、そ…

中村伸郎の随筆集

某所からの帰途、Rの店頭均一(200円棚)を覗くと、中村伸郎の随筆集二冊が目にとまった。 『おれのことなら放つといて』、『永くもがなの酒びたり』(ともに早川書房刊)の二冊。前者は遅まきながらの処女随筆集(1986年刊)、後者は遺稿集(1991年刊)であ…

購書日記など。

きょうは松本清張の亡くなった日。私は清張作品が大好きで、「清張好み」という変なエントリを数本書いている。 清張好み(1)http://d.hatena.ne.jp/higonosuke/20090203 清張好み(2)http://d.hatena.ne.jp/higonosuke/20090209 清張好み(3)http://d.ha…

三上読書

春城市島謙吉に「読書八境」(『春城筆語』所収)という文章がある。『日本の名随筆36 読』(作品社)にも収められたそうだが、現在は青空文庫でも読める。そこで春城は、「境に依り書味の異なるもの」、つまり書を読むにふさわしく、なおかつ気味の異なる環…