2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

知里真志保『アイヌ語入門』のこと

知里真志保『アイヌ語入門―とくに地名研究者のために―』(北海道出版企画センター)という本がある。判型でいうと、「小B6判」というのだろうか、一般的な新書よりもすこしだけ小さなサイズの本である。同じデザインでかつ同じ判型の本に、『地名アイヌ語小…

岩阪恵子選『木下杢太郎随筆集』

そもそもわたしが、木下杢太郎に関心を抱くようになったのは、平澤一「古本屋列伝」(『書物航游』)によるところが大きい。以前にもその一部を紹介したことがあるが、重複をいとわず引いておこう。 その次に訪ねた時、若林さん*1は折よく店にいた。こちらか…

『松本清張索引辞典』補遺

昨年末、森信勝編『松本清張索引辞典』(日本図書刊行会)という労作が出た。清張ファンの私などにとってはよい手引きになるし、たいへんありがたいことである。 2015.12.22付「毎日新聞」や2016.1.6付「中日新聞」、2016.2.29付「読売新聞」にも記事が出て…

『駿臺雜話』/冨山房百科文庫

前回の記事で引用した室鳩巣『駿臺雜話』は、享保十七(1732)年に成立したものであるが、この(確か)再版本を、四天王寺の古本市だったかで端本で拾ったことがある。しかし廉価だったこともあって虫損がそれなりにひどく、披くたびにパリパリと音がするの…

一鴟/鴟鵂

王楙の『野客叢書』巻第十一「借書一鴟」に、面白いことが書かれている*1。 それによれば、李正文『資暇集』が次のごとく述べているという。 書物の貸借について、俗に「謂借一癡。與二癡。索三癡。還四癡(借るは一癡、與ふるは二癡、索むるは三癡、還すは…