2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

文庫本で読む『菜根譚』

宗助は一封の紹介状を懐にして山門を入った。彼はこれを同僚の知人の某から得た。その同僚は役所の往復に、電車の中で洋服の隠袋(かくし)から菜根譚を出して読む男であった。こう云う方面に趣味のない宗助は、固より菜根譚の何物なるかを知らなかった。あ…