オリジナル文庫

ちくま文庫編集部編『ちくま文庫解説傑作集』(ちくま文庫)が届く。
まだ全部に目を通したわけではないが*1小沢昭一「落語と私」(麻生芳伸編『落語特選・下』の解説)と坪内祐三「贅沢な旅」(小沢昭一『ぼくの浅草案内』の解説)に、川島雄三幕末太陽傳』の貸本屋・金蔵*2小沢昭一)のことが出て来る。坪内氏はこの映画を「名画座で三回か四回見、ビデオも持っている」(p.129)のだそうで、死体のふりをする小沢に佐平次(フランキー堺)が熱湯をかける「その時の死体のリアクションが、私は、大好きなのだ」と書いている。わかるわかる。
小沢氏自身は、この作品について、「俳優になってからの仕事で、忘れられない映画」(p.46)と書いている。またこの映画には、金蔵が猫の死骸を抱いて海から出て来るシーンがあるのだけれど、このとき彼が抱いているのは、「撮影所で小道具さんがずっと飼っていた猫の死体」(p.47)なのだそうで、小沢氏は、「あまりいい気分はしませんでした」と回想している。

*1:出来れば、手に入りにくい文庫の解説をもっと載せて欲しかったかも。

*2:と、小沢氏はこう書いているのだが、表記は「金造」だったような気もする。