高山氏の名著を再読

雨。
幾つかのブログに書いてあったが、「フロントランナー」(朝日新聞)に、八木福次郎氏のインタビューが載っている。今日は、これを読むことから始まった。
午後から夕刻まで研究会。K君、Hさんたちと帰る。
帰途、K書店に立寄る。国広哲弥『日本語の多義動詞―理想の国語辞典2』(大修館書店)とか柏木薫・志村有弘久坂葉子研究会編『神戸残照 久坂葉子』(勉誠出版)とかが出ていて気になったが(特に前者)、今日はそんなに金を持ってきていなかったので、買えなかった。しかし手ぶらで帰りたくはなかったので、ジョサイア・コンドル著 山口静一訳『河鍋暁斎』(岩波文庫)を購った。コンドルは、鹿鳴館の設計者である。
殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ)
高山宏『殺す・集める・読む―推理小説講義』(創元ライブラリ)を部分再読。「探偵と霊媒アガサ・クリスティー『死の猟犬』」「『二銭銅貨』の経済学―デフレと推理小説」「暗号の近代―『二銭銅貨』を何がうんだか」あたり。
この本は、坪内祐三氏が、「ただの推理小説論ではない。もっと「スケールの大きな」文化史であり思想史である」(『古本的』毎日新聞社,p.212)と書いているように、とにかく凄い内容なのである。例えば、「探偵と霊媒」を読んでいると、蓮實重彦氏が「失敗ですらない」と痛烈に批判したブライアン・デ・パルマの『殺しのドレス』(1980)が、ヒッチコックの最も純粋な部分を最も素直に継承した作品であるように見えてきたり、水上呂理の小説群(いわゆる「精神分析」を取り入れたもの)がなんだか魅力的に見えてきたりするのである。つまり、この本を読むと、映画にしろ小説にしろ、文化史とか思想史とかも視野に入れたうえでの再評価(パルマの評価は人によって区々だが)を迫られるような気がしてくるわけだ。