墓場鬼太郎

 水木しげる墓場鬼太郎1』(角川文庫)、劉文兵『中国10億人の日本映画熱愛史―高倉健山口百恵からキムタク、アニメまで』(集英社新書)を購う。今日の持ち歩き本は『教養人の手帖』(教養文庫)で、情報はかなり古いのだけれど、これが思いのほか面白かった。
 『墓場鬼太郎1』読了。鬼太郎はあくまで「幽霊族」の生き残りであって妖怪ではなく、ましてや人間でもないから、楳図かずお猫目小僧のように、生まれながらにしてある種の「宿命」を背負っている。それが醸し出す「暗さ」が紙面から立ち上ってくる。それでこその「鬼太郎」だ。
 小学館入門シリーズの『鬼太郎』(以下『鬼太郎』)で見た記憶のあるコマも(p.84-121あたり。それからp.26のコマも確かあった筈だ)。『鬼太郎』は一体何に基いていたのだろうか(もう手許にないから分らない)。水木が「地獄への片道切符」で地獄へ……という展開ではなかったはずなのだが。貸本時代の「ねずみ男」のタッチも新鮮だった。しかも、意外と強欲ではない。