花田清輝がなぜかおもしろい

[rakuten:book:12781197:detail]
アドラー/ドーレン『本を読む本』をかなり参考にしているようだ。
『本を読む本』は、今週号の『週刊 ダイヤモンド』でも、勝間和代が「良書50冊」のうちの一冊として選んでいた。もっとも、「自己啓発」本として扱われていたからそんなに目立ってはいなかったのだが。
ぱらぱらやっていると、林四郎「言語効果の実験研究」『言語生活』1974年3月号(p.124)とか三尾砂(p.139)とかが出て来てびっくり。垣芝折多=書きしはおれだ(松山巖)の『偽書百撰』(p.55)は、前から読みたくおもっているのだが、なぜかすぐに忘れてしまう。
◆最近寝床で読んでいる、花田清輝の文章がおもしろい。
このあいだOの210均で、『花田清輝著作集』(未來社)全七巻を入手した。第二巻のみカバ缺だが、しめて1,470円というのは、破格の安値ではないかとおもう。
花田清輝というと、これまではアヴァンギャルド藝術の推進者、左翼思想の権化、韜晦趣味の論争屋、などといったおどろおどろしい印象しかなかったのだけれども(それに、吉本隆明との論争に敗れた“過去の人”という感じもあった。松岡祥男などは『吉本隆明に関する12章』で、「勢力を頼みとする花田」「なによりも花田のつまらないところは、その論理も言説もすべて偏狭な党派性に帰着することだ」と斬って捨てているくらいだ)、またそれゆえに敬遠していたのだけれども、『ものみな映画で終わる』(清流出版)、『花田清輝評論集』(岩波文庫)、『古典と現代』(未來社)*1などを読んでゆく過程で*2、ずいぶん違った風に見えるようになってきた。
浅羽通明は、二十代の終わり頃に花田清輝を熟読したというが(『流行神』、というか『天皇反戦・日本』で、確かそんなことを書いていた)、いまおもしろいと思えるのは、年齢のせいもあるのかもしれない。

*1:これもOの210均で入手したものである。

*2:最初に読んだ花田の著作はたしか『随筆三国志』で、これは著者への興味というよりも別な方面の興味から手に取ったものなのだった。