「読売新聞」(4月4日付)の「読書情報」に、このほど文庫化された高村薫の『レディ・ジョーカー』(全三巻、新潮文庫)が写真つきで紹介されていて、「大きな書名が3巻にまたがる装丁(『永遠の仔』などの多田和博)は平積みの台でも一際目をひく。2巻物で同様の趣向はあるが、3巻物では珍しいと担当編集者」、とある。だが、確か、最近出た新堂冬樹『カリスマ』(全三巻、幻冬舎文庫)も「同様の趣向」を凝らしていたのではないかと。
分冊文庫版にかぎっていうと、表紙絵が何冊かにまたがるのはそう珍しくないし、背表紙の図柄がつながっているのもよく見かける。古いところでは、創元推理文庫版の「日本探偵小説全集」もそうだったし、漫画でも時々見る(ただちにおもい浮かべるのは『ドラゴンボール』くらいだけれど)。最近では、夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(全四巻、徳間文庫)の例があった。
さて、『レディ・ジョーカー』は「合田雄一郎」シリーズの一冊ということだが、まだ読んだことがないし、徳重聡主演の映画も未見だ。
しかし、『マークスの山』の方は文庫版(講談社文庫)になってからすぐ読んだ。広田巡査部長が澁澤龍彦の作品を愛読している、というのが、文庫版での設定だと知ったのは後の話。映画(合田を演じているのは中井貴一)も観た。原作とはずいぶん雰囲気が違う。
そうそう、高村薫といえば、このあいだ、「人のこころを惑わせる桜」(『閑人生生―平成雑記帳2007-2009』朝日文庫所収)を読んで、いろいろと考えさせられるところがあった。
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