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小学生の漢字辞典―使い方・おぼえかた

小学生の漢字辞典―使い方・おぼえかた

 漢字が嫌いで嫌いで仕方なかった小学四年生のころに、漢字好きとなるきっかけを与えてくれた本。確か父が、買ってきてくれたときに、「新聞の広告欄で見た」、と言っていた。特に、「なりたち」欄をむさぼるように読んだ。この解説は、あらためて見てみると、藤堂博士の単語家族説がメインとなっている。――そんなことを、昨日某所でお話しした。その場におられた某先生は、この辞書のことをご存じだったようだ。
 「弁」が「もとは『かんむり』」の義で、「同じ発音の辨(刀で分ける)、辯(ことば)、瓣(はなびら)のかわりに使われるようにな」ったということ(p.159)や、「着は著とおなじ字」だったが「今は別の意味を表すようにな」ったこと(p.330)などは、この辞書で学んだ。
漢字ときあかし辞典

漢字ときあかし辞典

 もちろん、今でも「漢字好き」であるから、こういう本も買う。漢字の「タレント名鑑」のような本、「専門用語は使わない」、と著者がことわっていても、とりあえず買っておく。
 ただ、「不」を「慣用的」な音とする(p.523)一方で、「貪」字では「ドン」を挙げながら「トン(トム)」に触れない(p.470)とか、「諦あきらめる」を「日本語独自の用法」と明記する(p.437)一方で、「更ふける」は(転義であることは述べても)国訓とは明記しない(p.186)とか、若干不統一な部分も見受けられる。ちなみに、「更ふける」が国訓であることは、円満字二郎漢和辞典に訊け!』(ちくま新書2008)では言及されている(p.49)。
漢和辞典に訊け! (ちくま新書)

漢和辞典に訊け! (ちくま新書)