最近の購書から


 4〜5月は、“購書運”に恵まれていたとおもう。個人的にうれしかった「釣果」をえらんで、お目にかけることとする。
 4月7日。U書店の古書コーナーで、叢書集成初編本(私の知るものとは判型が異なる)の玄應『一切經音義(一)〜(六)』(商務印書館)6冊2,000円。
 同17日。U書店の古書コーナーで、『倉石中等支那語卷二教授資料』非賣400円。
 またAの店頭で、早大学生歌編纂会編『青春賦』50円(2冊で100円)。大学校歌や旧制高校校歌・寮歌から、当時(昭和46年)のはやり歌、童謡、民謡、替え歌(猥歌)、戯れ歌まで。新書判の小さな本(216p)だが、様々な歌が詰まっていて、楽しい。
 5月1日。その前日、Tさんに話した某喫茶店のカレーを無性に食いたくなり、ひる食いにゆき、その帰途、なぜかピンと来るものがあって入ったT書店内で(不断は店頭均一本を漁るか、岩波文庫の新刊コーナーを見るかするくらいで終るのだが)、中原弓彦『汚れた土地』(講談社初パラ函1,000円を発見。状態もよい。かなりの激戦区だとおもうが、こういう場所でこういう本をひょいと見つけてしまうのが古本屋めぐりの醍醐味だ。この日はほかに、U書店古書コーナーで、王力文集 第十三巻』(山東教育出版社)600円(中身は「康煕字典音読訂誤」)や、叢書集成初編本の顧炎武輯『金石文字記(一)(二)』(中華書局)2冊1,000円も拾った。
 同11日。ブックオフL店で、神森智『俗談・雑談・余談 よもやまばなし』(同文舘出版)非売品108円。これも掘出しものだとおもう。「借方」「貸方」「経理」「会計」「簿記」の語誌、「青色申告」の語原センサクなど。また大田哲三「会計学」の書誌や、James Peele による簿記書(1569年刊)への言及もあって、面白い。
 同23日。出張先の岩手県でK書房に入り、『東北文学』第二巻第六号(1947.6)1,000円。この雑誌には、小山清太宰治も寄稿したことがあるようだが、私が買ったのには清水基吉「盡記」という私小説小川環樹「老舎と魯迅」、和井幀「小説のジャンル」などの評論が載っている。同じ店では、白背(再版)の横溝正史『獄門島』(角川文庫)も拾った。均一本で300円かとおもっていたのだが(それでも相場よりは安い)、価格がついていなかったため、サービスで只にしていただいた。