「舌」をつかって何かを「見分ける」能力をもった人物といえば、辻邦生『嵯峨野明月記』に出てくる「経師屋の宗二」(紙師宗二)もそうだった。 宗二は何かを見分けようとするとき、紙でも木ぎれでも、かならず舌先でなめてみるのである。まるでその味を吟味…
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