2005-01-01から1年間の記事一覧

手短に

大学へ。今年はこれで最後。 学者の欲望。それはなにも、世界的な評価を受けたいとか、歴史に名前を刻みたいとか、自分の発見・発明によって利益を受けたいといったものとは限らない。それ以上に、自分が望んだような実験結果を得たい、自分の仮説を証明する…

色川武大の覆刻本

大学で論文を読み、かつ書く。 賀状を書く。この時期になるといつも、「年賀状なら誰しも貰ってうれしく、返すのは面倒だから、つい返さないのは人情で、深くとがめるには当らない。ただ、そのやりとりは愚かだと説教するのはよけいなお世話である」(山本夏…

めちゃくちゃなフィナーレ

ここ数年、イヴはフランク・キャプラの『素晴らしき哉、人生!』(1946)を観ているのだけれど、今年はとても観られなかった。『素晴らしき哉、人生!』といえば、瀬戸川猛資氏の『夢想の研究』が想起される。 人生に絶望して自殺しかけたジェームズ・スチュ…

外に出る

臨時収入アリ。 ずっと座って論文を書いていると、気が滅入ってくるしダチ(らち=埒)アカンので、外へ出た。散髪した。本を一冊購った。宮沢章夫『「資本論」も読む』(WAVE出版)。『チェーホフの戦争』とで迷ったが、『資本論〜』に決めた。私も、『資本…

虚構の人・井上光晴

寒。夜から雪ふる。 どうやら、風邪をひいたらしい。 症状はそんなに大したことはないのだが、いや、だからこそ、今のうちに治しておきたいのだ。取り敢えず、薬を飲んでおいた。 この状態が明日までつづくならば、他人にうつしてしまいそうなので、大学へは…

ドレミハ男の血は騒ぐ

アルバイトがあるし、寒いしで、大学へは行かず。 フトしたきっかけから、貝塚茂樹訳注『論語』(中公文庫)を披いてみた。 この本は、例えば「學而篇第一」で、「時習之」の「時」を助字と解釈したり、「自遠方來」を「遠きより方(なら)び來る」と訓じた…

またも清張ブーム。

松本清張『けものみち』(新潮文庫)が、上下分冊版になって出ていた(活字も大きくなっている)。六十三・六十四冊めの新潮文庫である。 このところ「文春文庫」は、立て続けに短篇集や新装版『昭和史発掘』を出していたのだが、いよいよ、待ちに待った新潮…

かなしき講義ノート

昨日、NHK放送文化研究所編『NHK ことばのハンドブック第2版』(NHK出版)が届いた。「ア行」の項目のみ、初版(1999年第9刷←1992年第1刷)と較べてみた。 「足がある」、「あなたにとって○○とは?」、「余り米・余剰米」、「アメダス」、「荒れた天気・大…

たとえ石ころでも…

思わぬ収入あり。吉報あり。 午前九時過ぎに家を出る。なぜ、こんなに寒いのだろう。 朝飯も食わずに出てきたので、Bでひと休みすることにした。紅茶を飲みながら論文を読む。暖房があまり効いておらず寒かったので、附近の本屋に入る。 竹信悦夫『ワンコイ…

しょんがいな、しょんがいな

寒。大学へは行かず。朝から夕方まで論文書き。夜はアルバイト。 夕方、行き詰まってしまったので、山中貞雄『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』(1935,日活)を観た。 「七十年前」の作品とはとても思えない、最高の「現代時代劇」だった。 いかにもこれは「餘話…

左右右左

西山賢一『左右学への招待―世界は「左と右」であふれている』(光文社知恵の森文庫)をよむ。解説は、池内了「モノとコトの『新しい博物学』」。 「左右」の概念世界が、これほど豊饒なものであったとは。 台風や海流、言語脳と右利きの話、コリオリ力、陰陽…

映画人とテレビドラマ

升本喜年『テレビドラマ 伝説の時代』(扶桑社)。最近たいへん面白く読んだ本。感想を書くと長くなってしまうので、少しだけ。 とりわけ印象に残るのは、井上梅次や鶴田浩二、瀬口城一郎、田宮二郎あたりか。今をときめく作家の脚本家時代や、無名時代の大…

成瀬巳喜男のサイレント二本

衛星劇場が、成瀬巳喜男のサイレント映画を特集していたので録画した。そのうちの二本を観た。 『腰辨頑張れ』(1931,松竹蒲田)と『生(な)さぬ仲』(1932,松竹蒲田)。そのいずれにも交通事故(前者は鉄道事故、後者は自動車事故と「自転車」事故)が出…

演習と飲み会

寒。雨降る。気分も晴れぬ。 菊地敬一『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』(新風社文庫)を買う。本邦初訳の、ラリー・ケインによるビートルズ本(小学館文庫)も出ていた。これも欲しい。また、『日本沈没』が再文庫化。 演習。例外の部分だけで、話題が…

死の棘日記

雨が降っているし、忙しいしで、ワゴンセールには行かず。 出る用事もなくなったので、家で論文のつづきを書く。 日経の「半歩遅れの読書術」、今月は竹内洋氏(先月は斎藤美奈子氏だった)。就職のために上京した上級生(女子)との思い出話。加藤和俊『集…

研究会

午後から夕方まで研究会。 齋藤毅『明治のことば―文明開化と日本語』(講談社学術文庫)など読む。 また、今石元久編『音声研究入門』(和泉書院)を購う。ニ割引。 その後、懇親会。私がいま研究対象としている書物を、Y先生が校本のかたちで出したいと仰っ…

吼える密林

久しぶりで、工学部のN君と会う。高校生のとき、一緒に某委員をやっていて、その頃からの知り合いだ。いま修士一年で、いよいよ就職活動を始めたらしい。また会うことがあるだろうか。 今日もまた、いろいろとあって、残念ながら、立川談志の特番をほとんど…

今夜此処での一と殷盛り

大学へは行かず、十時間くらいパソコンに向かっていたが、たいして進まなかった。四百字詰原稿用紙に換算すると、十二枚に相当するのか、どうか。とにかくそれくらい。考えがまとまらず(まとまるほどの考えがなく)、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」。同…

シネマダイスキのことなど

晴れて寒し。十一月も今日で終わりか。 ふしぎなもので、「あの人に会わなければ」と思いつづけていると、突然ばったり出くわすことがある。今日も大学の構内で、そういう人にお会いすることが出来たのだった。ふだんは滅多に出会うことがないというのに。小…

中野翠のコラムなど

晴れ。水曜の演習のレジュメを、ゆるゆると仕上げていく。 中野翠『毎日一人はおもしろい人がいる よりぬき』(講談社+α文庫)を百頁ほど読む。五十代の弘田三枝子(p.38)について書いていたが、「あのこと」はさすがに書いていなかった。ショパン猪狩(p.4…

「桜林」に感動

所用あって出かける。午前、散髪。やや驚くことあり。 中尾書店で、小田実・開高健『世界カタコト辞典』(文春文庫)100円を購う。「阪急古書のまち」は、この十二月で三十周年を迎えるらしく、その記念として「読書メモ」(特製メモ帳)を頂いた。他にも、…

松井栄一の本

昼から大学。 そんなに金があるわけではないが、松井栄一*1『国語辞典はこうして作る―理想の辞書をめざして―』(港の人)ISBN:4880083461。これは、チェックしていなかった。 初出誌は、『総合教育技術』とか『ザ・文章設計』とかだから、『日国』第二版*2に…

復活

新たなパソコンで、なんとか復活。 だが、購書録(三年分)や、学部時代のレジュメやレポートが全て失われてしまったというのが悲しい。まあ致命的な損失はなかったのだが、昨日は、フロッピー等への上書き保存を忘れていたファイルがたくさんあることに気づ…

大変だ!

ハード自体が破損して、パソコンが起動しなくなった!! 修理に出さねばなるまい。こんなときに、こんな大事なときに・・・。大変だ!!

『紙つぶて』など

発表会後、飲み会とカラオケ。ちかれたびー。 私のブログを、意外な先生がお読みになって下さっていることを知り、やや驚く。 帰宅すると、プロコフィエフのプレゼントCDが届いていた。交響曲第一番「古典」が入っている。 ところで、あちこちのブログで読ん…

坂野比呂志の声

このあいだ酒の席で、どういう話の流れだったかは忘れたのだが、Aさんに「物売りの声とか、香具師の口上とかにも興味があって…」というような話をした。すると彼女が、「ヤシノコウジョウ?」と怪訝な顔付をしたので、「寅さんの…」と言い掛けると、「ああ…

飲み会

昨日、今日と急に冷え込んだ。 書籍部で、レヴィナス 熊野純彦訳『全体性と無限(上)』(岩波文庫)を購う。今日は序文だけ読む。 Mさん宅にて鍋料理をいただく。スポーツ大会の打ち上げを兼ねてのもの。 午後十一時ころにMさん宅を出たが、Iさんに、も…

角川シナリオ文庫

昼から大学。天気が良かったので、ブックオフにも寄る。 鈴木修次『漢字再発見』(PHP二十一世紀図書館)、亀井勝一郎『青春について』(旺文社文庫)、鎌田敏夫『シナリオ里見八犬伝』(角川文庫)、稲垣史生『考証日本史』(河出文庫)、入江相政『侍従…

帰り来ぬ「黄金時代」

小林信彦『テレビの黄金時代』(文春文庫)読了。テレビ局とプロダクションの関係や藝人たちの浮沈を、適度な距離をおいて叙述しているので、面白く読めた。 ところで、たとえば父が、「ハイそれまーでーョ」とおどけてみせたり、懐かしそうに「緑の丘の 赤…

そりばってん、北原白秋

江戸末期の九州方言を採集した『筑紫方言』を読んでいたら、「そればってん」ということばが出てきた。「さうじやけれども と云事を そればつてん」とある(「さうじやけれども」がすなわち中央語である)。 同書は、この「そればってん」は「てんどろぼうど…