シネマダイスキのことなど

晴れて寒し。十一月も今日で終わりか。
ふしぎなもので、「あの人に会わなければ」と思いつづけていると、突然ばったり出くわすことがある。今日も大学の構内で、そういう人にお会いすることが出来たのだった。ふだんは滅多に出会うことがないというのに。小さな悩みが、これでひとつ解消した。
新古書店で、吉行淳之介『着流し対談』(角川文庫)100円、山田風太郎『死言状』(角川文庫)100円、南伸坊『面白くっても大丈夫』(徳間文庫)50円など買う。『死言状』は、小学館文庫に入ったばかりですね。
某新本屋にも寄ってみる。後輩の女の子が、働いていた。後輩といっても、同じ小学校に通っていたというだけで、ふたことみこと会話を交わしたに過ぎない。彼女は多分、覚えていないだろう。
遅まきながら、『映画と本vol.2』をもらってくる。ナヴィゲーターは石田ゆり子。「いつか書庫のある家に住みたい」のだとか。「おススメの本」中に、『富士日記』『日日雑記』『錦繍』。十二月に移転するユーロスペースの話も載っていて、その新生ユーロスペースの杮落とし作品に、マキノ正博の『鴛鴦歌合戦』(1939)が入っている。私は、四年まえにこれを観たのだが(よみうりテレビの特集「シネマダイスキ」第五十三集で放送)、録画しておけばよかったと悔やんでいる。カルト・ムーヴィ的な扱いがなされていることもあって、あまり期待せずに観たのだが、これが異様に明るく、楽しい作品だった。記憶が薄れてしまっているが、志村喬の歌がいちばん印象的だった。とにかく、もう一度観たい作品である。
古い邦画もよく観るようになったのは、だいたいそのあたりからだ。四年前つまり平成十三年は、データがないので正確な数字は把握できていないが、一年で、五百五十本以上の映画を観た。一日に四本観たこともある。無茶をしたものである。
「シネマダイスキ」が放映してくれる作品には、本当に良質なものが多い。だから、地上波では一番気に入っている。これを私が意識して観るようになったのは、第四十三集あたりからだったと思う。七年か八年ほど前。