グレーゴル・ザムザ

晴れ。
午後から大学。夜九時まで大学。
発表資料を印刷する。組み作業を七人の方々が手伝って下さった。お蔭でたいへん助かった。
研究室で、中村明「随感 ゆりかごの小沼丹」(『早稲田日本語研究』第15号所収)を読む。中村氏は、未知谷刊『小沼丹全集』の編輯者のひとりである。この文章は年譜形式になっているが(1949年11月まで*1)、作品からの引用もある。また、井伏鱒二の「小沼君の将棋」も参照している。
フランツ・カフカ池内紀訳『変身』(白水uブックス)をすこし読む。主人公の名が「グレーゴル・ザムザ」になっている。私がこれまで読んだ『変身』は、中井正文訳(角川文庫)と高橋義孝訳(新潮文庫)の二種類なのだが、主人公の名はいずれも「グレゴール・ザムザ」。高橋義孝訳のものは、高橋氏自身の意向によって、昭和六十年の改版時、「グレーゴル・ザムザ」と改められたらしい(本の雑誌編集部編『活字探偵団 増補版』角川文庫,pp.339-42参照)。私の持っている高橋訳は、昭和五十二年に出たものだ(四十四刷)。「グレーゴル」のほうが原音に忠実なのだそうだが、「グレゴール」に慣れ親しんでいたので、ちょっと気になった。
あっ、『共犯者』、録画するのを忘れていた!

*1:次号に続くのだろうか?