2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧

カルメン、カムバーック!

『カルメン故郷に帰る』(1951,松竹大船) 監督・脚本:木下恵介、製作:月森仙之助、撮影:楠田浩之 記念すべき、日本初の総天然色長篇映画です。「草軽電鉄電気機関車」(デキ12系機関車)の走行シーンがカラーで見られる、ということで、鉄道ファンの…

東京では、二日まえにこの冬はじめての雪が降ったそうですが、大阪では今日が雪。 我が家の庭にも、雪が降積りました。

モブ・シーンの力

『決闘 高田の馬場』(1937,日活京都撮影所) 監督:マキノ正博、稲垣浩、原作・脚色:牧陶三、撮影:三井六三郎、石本秀雄 お馴染みの講談、堀部安兵衛もの「高田馬場の決闘」をもとにしています。ヴィデオ化される前の題名は、『血煙 高田の馬場』。監督…

戦後を生きた男の証

長尾三郎『週刊誌血風録』(講談社文庫) 2004.12.15第一刷。文庫オリジナル。「文庫オリジナル」とか、「文庫書下ろし」とかいう惹句はあまり好きではないのですが(なかにはお手軽本も混じっているだろうから)、この本は読み応えがありました。ときおり、…

日本映画研究必携

永田哲朗編『日本映画人 改名・別称事典』(国書刊行会) 縄田一男氏が、『日本経済新聞』や『週刊朝日』など、色々なところで紹介されていた本で、ずっと気になっていました。しかしなぜか、新聞の広告(縄田氏の書評ではなく)では、刊行後も『日本映画人 …

本のこと

スラヴォイ・ジジェク『ヒッチコック×ジジェク』(河出書房新社)。訳者は、鈴木晶さんと内田樹さん。どうせ理解できないでしょうが、メモ。2005.2.15記す。

興奮する密室劇

『ダイヤルMを廻せ!』(1954,米)“Dial M for Murder” 監督:アルフレッド・ヒッチコック、原作・脚本:フレデリック・ノット、撮影:ロバート・バークス。1952年にブロードウェイで大ヒットした、フレデリック・ノットの戯曲を映画化したものです。脚本…

渾身の黒澤サスペンス

『野良犬』*1(1949,映画藝術協会=新東宝) 監督:黒澤明、製作:本木荘二郎、助監督:本多猪四郎、今泉善珠、脚本:黒澤明、菊島隆三、撮影:中井朝一、照明:石井長四郎、主な配役:三船敏郎(村上刑事)、志村喬(佐藤刑事)、淡路恵子(並木ハルミ)、…

映像の魔術師メリエス

『月世界旅行』(1902,仏)“LE VOYAGE DANS LA LUNE” 監督・製作:ジョルジュ・メリエス、撮影:ミショー、衣裳:ジョアンヌ・ダルシー、主な出演者:ジョルジュ・メリエス、ヴィクトル・アンドレ、ブルーエット・ベルノン メリエス藝術の到達点をなす作品…

映画を読む本

スティーブン・ジェイ・シュナイダー総編集『死ぬまでに観たい映画1001本』(ネコ・パブリッシング) 映画のベスト・チョイス本が好きです。たとえば、双葉十三郎さんの『外国映画 ぼくの500本』『日本映画 ぼくの300本』(いずれも文春新書)、淀川長治さん…

追悼・水上勉(第二弾)

『越前竹人形』(1963,大映) 監督:吉村公三郎、製作:永田雅一、原作:水上勉、脚色:笠原良三、撮影:宮川一夫、主な配役:若尾文子(玉枝)、山下洵一郎(喜助)、中村玉緒(お光)、中村鴈治郎(船頭)、殿山泰司(善海和尚)、伊達三郎(長七)、浜村…

雷蔵没後三十五年

市川雷蔵、本名太田吉哉は、1969(昭和四十四)年七月十七日、肝臓ガンのためこの世を去りました。享年三十七。…それから三十五年。彼は今もなお、スクリーン上で我々を魅了しつづけています。 『てんやわんや次郎長道中』(1963,大映) 監督:森一生、脚本…

そして日常はつづく

『グレゴールとおばあちゃん』(2001,独)“GREGORS GROΒTE ERFINDUNG” 監督:ヨハネス・キーファー、主な配役:アレクサンダー・ベイアー(グレゴール)、クリステル・ペターズ(ヘルタ)。オスカー短篇部門ノミネート作だそうです。短篇映画は、様々の要素…

かなしき少女たち

『何故彼女等はそうなったか』(1956,新東宝) 監督・脚本:清水宏、助監督:石井輝男、製作:松本常保、原作:竹田敏彦『少女の家』、撮影:鈴木博、主な配役:香川京子(小田先生)、高橋豊子(園長先生)、池内淳子(小森千代)、三重明子(長谷川米子)…

国産第一号の?

『接吻第1号』(1950,松竹) 監督:佐々木康、製作:久保光三、脚本:斎藤良輔、鈴木兵吾、撮影:厚田雄春、主題歌および挿入歌:大野一夫「青空のもと」(詞:内田ゆたか、作曲:萬城目正、編曲:田代與志)、並木路子「ルンバの舞姫」(詞:内田ゆたか、…

「本の本」を二冊

唐沢俊一『カラサワ堂変書目録』(光文社知恵の森文庫) 2004.12.15初版一刷。画は、ソルボンヌK子。「怪書目録」の姉妹篇で、またまた変な本ばかりとりあげています。横田順彌さんの『古書ワンダーランド』(平凡社。これもいずれ、二巻まとめて取上げる予…

珠玉の作品三本立て

チャンネルnEcoでやっていた、「廿世紀シネマ・ライブラリー 風変わり! PR映画」三本立てを観る。いずれも短い作品ですが、おもしろい。 『わたしは女性No.1』(1950,日本映画社) 演出:中村敏郎・庵原周一、音楽:三木鶏郎グループほか、主な出演者:…

視聴率、この面妖なるもの

小林信彦『雲をつかむ男』(「小説サンデー毎日」1971年4月号) 小林信彦『侵入者』(文春文庫,2004)所収。視聴率至上主義をコミカルに、そして辛辣に描いた作品です。「視聴率戦争」をとりあつかった小説としては、ほかに松本清張の『渦』(新潮文庫など…

特撮映画と塚本映画

『孫悟空』(1959,東宝) 監督:山本嘉次郎、特撮技術監督:円谷英二、製作:田中友幸、宇佐美仁、脚本:村田武雄、山本嘉次郎、撮影:小泉一、音楽:團伊玖磨、主な配役:三木のり平(孫悟空)、市川福太郎(三蔵法師)、千葉信男(猪八戒)、中村是好(沙…

これからも小津を観よう

『彼岸花』(1958,松竹大船) 監督:小津安二郎、製作:山内静夫、脚本:野田高梧、小津安二郎、原作:里見紝、撮影:厚田雄春、主な配役:佐分利信(平山渉)、田中絹代(證子)、有馬稲子(平山節子)、久我美子(三上文子)、佐田啓二(谷口正彦)、山本…

かなしき青春

某所の古書市で、小山祐士『戲曲 自由學校』(河出市民文庫)を見かけました。私が手に入れたのとおなじ値段だのに、帯附で美本(私のは帯ナシ、しかも状態があまり良くない)。ちょっと悔しい。 久米正雄『受験生の手記』(1918.2) 久米正雄『学生時代』(…

辞書を追いつめる

石山茂利夫『国語辞書事件簿』(草思社) 2004.11.29第一刷。 石山氏の著作を読むのは、『今様こくご辞書』(讀賣新聞社)、『裏読み深読み国語辞書』(草思社)につづいて三冊目です。前著二冊は、「ことば」に関する話題が「主」だったのに対し(『裏読み…