追悼・水上勉(第二弾)

越前竹人形』(1963,大映

監督:吉村公三郎、製作:永田雅一、原作:水上勉、脚色:笠原良三、撮影:宮川一夫、主な配役:若尾文子(玉枝)、山下洵一郎(喜助)、中村玉緒(お光)、中村鴈治郎(船頭)、殿山泰司(善海和尚)、伊達三郎(長七)、浜村純(医者)、西村晃(忠平)、村田扶実子(お時)
悶々とした日々をおくる、若尾文子(玉枝)の「艶技」が醸しだすエロティシズム。それから、生真面目な喜助を演じた山下洵一郎の「眼」。モノクロームだのに、気持ちがわるいくらいギラギラしています。度を過ぎた生真面目さと狂気とは、同居するものなのでしょう。
それにしても、この作品の暗さといったら、なんともやりきれないものがあります。全篇、緊張感と不安とに満ちています。「睨めあげるような」カメラワークも効果的です。
全然関係がありませんが、この後(七十年代後半から)、山下洵一郎はロマンポルノの常連になっています。たとえば最近観たものでいうと、『宇能鴻一郎の濡れて騎る』(1982)の、白髪交じりの滝沢役がこの人(もちろん、ロマンポルノだけではなく、『小説吉田学校』などにも出演しています。同作品では、二階堂進を演じていました)。