「舌」をつかって何かを「見分ける」能力をもった人物といえば、辻邦生『嵯峨野明月記』に出てくる「経師屋の宗二」(紙師宗二)もそうだった。 宗二は何かを見分けようとするとき、紙でも木ぎれでも、かならず舌先でなめてみるのである。まるでその味を吟味…
門井慶喜の作品中の人物たちは、しばしば「舌を出す」。 …隆彦が二度うなずくと、志織はちょっと舌を出し、… (「図書館ではお静かに」『おさがしの本は』光文社文庫2011:50) 「それ以前に就職ですね。私の場合」 郁太は舌を出した。(『小説あります』光文…
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