2009-01-01から1年間の記事一覧

ユリイカ2010年1月号 特集=白川静 一〇〇歳から始める漢字作者: 一海知義,石川九楊,石牟礼道子,梅原猛,多和田葉子,松岡正剛,高島俊男出版社/メーカー: 青土社発売日: 2009/12/28メディア: ムック購入: 4人 クリック: 28回この商品を含むブログ (14件) を見る…

清張好み(4)

■『写楽の謎の「一解決」』(講談社文庫) だから、写楽の経歴の穿鑿(せんさく)はやめて、写楽は写楽たらしめよ、というのがわたくしの考えです。幻の写楽は、幻でいいではありませんか。彼の作品だけでよいのです。作品こそ幻でもなんでもなく、写楽の実…

今日は松本清張の誕生日。TBS系でドラマ「火と汐」がやっていた。清張記念館でも企画が目白押しだが、行けない。 - 翻訳家列伝101 (ハンドブック・シリーズ)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 新書館発売日: 2009/11/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: …

必要あって日本ペンクラブ編 丸谷才一選『花柳小説名作選』(集英社文庫)を読む。 野口冨士男の「なぎの葉考」は、さいきん講談社文芸文庫でも読めるようにはなったけれど、武藤康史氏がかつて「『花柳小説名作選』(集英社文庫)は岡鬼太郎「四つの袖」を…

大雷蔵祭、大阪ではいよいよ明日から。「『(雷蔵は―引用者)メガネかけて街を歩いていたら誰だか分からない。あの化け方がすごい』と女優の藤村志保から聞いたことがあります」、とは安永五郎氏の言(朝日新聞大阪版夕刊,2009.12.18付)。

(恒例? の)今年観た映画

(*印=二回目以上。必ずしも順番どおりに観たわけではない。) 三隅研次『座頭市血煙り街道』(1967,大映) *アルフレッド・ヒッチコック『裏窓』(1954,米) 田坂具隆『五人の斥候兵』(1938,日活) …叢を這い回るシークェンスに緊迫感。カメラワーク…

YT YT

二十年ほど前の愛読書+YTお気に入り

色々と銷沈することがあって、すっかり気が滅入ってしまい、仕方なく本を整理していると、村松一弥*1責任編集『学習漫画 中国からきた よくわかることわざ事典』(集英社)が出てきたのだった。 小学生のころ、何度も何度も読んで、漢字や漢文に対する憧憬を…

出雲といえば

過日、ある用事のため島根へ行って来たのだが、私にとっての出雲地方とは、『砂の器』*1、そして狐信仰、出雲蕎麦である。これは相当偏った見方であるが、島根・山陰といえば狐、という印象は、倉光清六『憑き物耳袋』(河出書房新社、復刊)、石塚尊俊氏、…

柳北『航西日乗』の文庫化を寿ぐ

漢字百話 (中公新書 (500))作者: 白川静出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 1978/04/25メディア: 新書購入: 6人 クリック: 23回この商品を含むブログ (25件) を見る 白川静氏が『漢字百話』(中公新書)に、 江戸戯作の字遊びは、寺門静軒の『江戸繁昌記…

尾崎紅葉と言文一致の時代

以前書いた小文に、すこしだけ手を加えたものですが、データを整理している途中に偶然見つけたので、ここに(恥ずかしげもなく)晒しておきます。 - 鷗外森林太郎が「言文論」(明治二十三年四月)に、「読ませむために作れる文漸く盛になりもてゆく程に、言…

清張好み(3)

■「カルネアデスの舟板」(『張込み』新潮文庫ほか所収) おれは眼を掩うつもりで、その絶対な感情を実行した。それは抵抗出来ない運命的なものだ。人は、おれの計算の頭脳と考え合せて、嗤うかもしれない。それも承知だ。どうせ現代は、不条理の絡み合いで…

帰省日記(部分)+おまけ

熊本へ帰ってきました。 例の如く、皆様には色々とお世話になりました。ちょっと慌しい帰省となりましたが、T/K家に居る間は、わがままも聞いてもらえて、ゆっくりと過ごせたのがよかったです。

読んだ本や観た映画

九月某日 アルバイト先に向かう途次、Jで唯円『歎異抄』(光文社古典新訳文庫)を買う。川村湊氏による「関西弁(京都方言?)訳」。また、内田樹『こんな日本でよかったね』(文春文庫)も買う。白川静先生の追悼文が入っているため。素早い文庫化。単行本…

久々の映画、久々のヒッチコック

見知らぬ乗客 [DVD] FRT-106出版社/メーカー: ファーストトレーディング発売日: 2006/12/14メディア: DVD購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (14件) を見る こないだ、早朝にヒッチコックの『見知らぬ乗客』(1951,米)を観た。レイモンド・チャ…

下鴨行

夏休み恒例の「下鴨納涼古本まつり」。 初日に行くことはかなわなかったが、二日めに強行軍でなんとか行けた。京阪出町柳から徒歩。じりじりと照りつける日の光で、かなりの体力を消耗してしまった。 しかし古本市へ向かうときの気分は、たとえ茹だるような…

ドク(読)・ホリデイ

都筑道夫の読ホリデイ 上巻作者: 都筑道夫,小森収出版社/メーカー: フリースタイル発売日: 2009/07/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 33回この商品を含むブログ (29件) を見る都筑道夫の読ホリデイ 下巻作者: 都筑道夫,小森収出版社/…

第3回ワークショップ:文字―新常用漢字表を問うPart2

「心はふたつ身はひとつ」で、前日までDKと迷ったが、結局こちらへ行くことにした。 二回目の参加。前回は、MさんやHMさん、HDさんなど、心強い味方もいらっしゃったのだが、今回はひとり。自分は畑違いの人間なんじゃなかろうか、とかなり心細くなった(一…

最近の看書記録など

※KSちゃんのリクエスト(?)にお応えして。論文以外。斜め読み、飛ばし読み含む。四月某日 海野十三『蠅男』(講談社大衆文学館)よむ。帆村荘六(ほむらそうろく)*1もの。四月某日 柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木』(文春文庫)よむ。先々月のテレ…

最近の購書記録など、抜粋

四月某日 Kで寺門靜軒『太平志』(太平文庫)、山口昌男の対談本各300円等。 四月某日 神戸のミロ展に行く。キオスクで長岡龍作『日本の仏像』(中公新書)。 四月某日 Mで青山光二『青春の賭け―小説 織田作之助』(中公文庫)400円。Jで松岡正剛『多読術』…

それは「仮説」なのか?

オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険作者: 鈴木光太郎出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2008/10/03メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 89回この商品を含むブログ (50件) を見る 昨年末におもしろく読んだ本である。小谷野先生が、『中央公…

文庫本玉手箱・「閑話休題」覚書

■坪内祐三『文庫本玉手箱』(文藝春秋)文庫本玉手箱作者: 坪内祐三出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (26件) を見る 数えてみると、紹介された文庫のうち、126冊を新本屋で手に取るか…

註多きが故に…

本、註多きがゆえに尊からず―私のサミング・アップ作者: 高橋哲雄出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2009/06/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る■「装幀・和田誠」。顎十郎の話*1やら、田中明彦『新しい中世…

ビデオキ

■YT(ここ一年間に視聴したものの中から) 当時、「危機一髪」の意味が分らなかった。「夢光年」のほうが有名かもしれない。 記憶に残っているのは、「くちびるNetWork」くらいだけれど。 最近、ようやっと綴れるようになった。かつてジャリズムがコントで巧…

たまには漢字の話を

■いわゆる「倉頡(蒼頡)漢字創造神話」の、「倉頡(蒼頡)」の命名由来について書かれたものでは、 倉頡という名まえの「倉」は、創造の創に当てた字である。(略)また「頡」という字の右は、顔・頭などの字にも含まれる「頁」という形で、これは(略)「…

雷蔵歿後四十年

■三月某日。晴。清張作品に限定したオリジナルの選集本(六巻)が来月から新潮社で出ると聞いた。選者は、宮部みゆきはもちろん、海堂尊や、確か佐藤優も。 また、山田詠美による日本文学秀作選(文春文庫)が、来月ついに出ることを知ったので(浅田次郎の…

淡島千景のインタビュー本

■ついに出た(こちらも参照のこと)。 新文芸坐の今月中旬〜下旬の上映スケジュールはこちら(PDFファイル)。 ■獅子文六は、銀幕デビュー時の淡島千景に、筆で「ヘップバーン*1とコルベールの間に君の道がある」と書いた色紙を贈ったという(牧村健一郎『獅…

『砂の器』の×××

■小谷野先生が、『砂の器』(原作)における殺人手法について、「実にけったい」だと書いておられる。確かにそのとおりなのだが、そのことに言及した本をあまり見たことがない(論文は読んでいないので知らない)。 管見によれば、清張関連書以外ではわずか…

■YTより ↓弘田三枝子の驚異的歌唱力。紅組キャプテンは江利チエミ。 ↓最後のほうで「夜叉」が流れる。 ↓なぜかブルックナーのロマンティック(第一楽章)が鳴り響く。川又昂カメラマン*1や在りし日の野村芳太郎監督の姿を見ることができる。街頭インタビュー…

春秋一刀流・鶴八鶴次郎

■三月某日。丸根賛太郎『春秋一刀流』(1939、日活京都)を観た。丸根の監督&脚本デビュー作(助監督はのちに大映京都の名匠となる安田公義だ!)。 丸根作品は、これまで特に意識して観てきたわけではない。九年前に初めて観た丸根作品『狐の呉れた赤ん坊…