帰省日記(部分)+おまけ

 熊本へ帰ってきました。
 例の如く、皆様には色々とお世話になりました。ちょっと慌しい帰省となりましたが、T/K家に居る間は、わがままも聞いてもらえて、ゆっくりと過ごせたのがよかったです。
九月十八日
 チケットを頂いていたので、朝、中之島ルーヴル美術館展へ。またも独り。平日だというのに人が多い。『知る楽』のテキストを買ってかえる。
 夕方の飛行機で熊本へ。前便到着遅延のため30分遅れ。8:00過ぎ熊本着。Kちゃんに迎えに来てもらう。

九月十九日
 父母とN行き。Kちゃんに送ってもらう。Y伯父さん、M伯母さんと久しぶりで会う。焼酎、山鹿羊羹を頂く。
 Hへ祖母の見舞。

九月二十日
 日差しが強い。遠くにアドバルーンが上がっている。午前中墓参。午すぎ、父母と歩いてJおっちゃんの所へ行く。Mばちゃんにも会う。多分七年ぶりくらい。Jおっちゃんは、足を悪くして、最近めっきり外へ出なくなったという。G爺ちゃんの話などきく。
 夜、ちょっとしたパーティ。
 灯下、福永武彦『忘却の河』よむ。素晴らしい。

九月二十一日
 朝5:30起床、父母と三人で藤崎八旛宮秋の例大祭を見に行く。K叔父ちゃんに送ってもらう。
 この祭りを見たのは多分二十年ぶりくらい。参加したのは二歳の頃。現在では「随兵」などと呼ばれるようになって、馬追いのかけ声も変ってしまったが(T君によると十年程前だとか)、「ボシタ祭」でなければどうもしっくりこない。40組の半ばまで見た(今年は69組参加、勢子は1万6000人であったが、団体ごとの参加人数は減っているとの由。これもT君の話の受売り)。
 ふたたびK叔父ちゃんに迎えに来てもらう。
 10:00過ぎ、母方の祖父・曽祖父の法事。真宗の坊さんが来る。
 ひる、Sちゃんの車で祖母の見舞。S'ちゃん、S''ちゃんも来る。その後、健軍のHにて御馳走になる。K家・Y家・H家が集う。積もる話いろいろ。S''ちゃんと会うのは、今年は今日で最後。
 夕刻、Kちゃんの車でSちゃん達と市街に出る。Jにて、鈴木棠三『中世なぞなぞ集』岩波文庫500、井伏鱒二『集金旅行・さざなみ軍記』創元文庫300。Aにて、牧野元次郎『ニコニコ全集』弘學館500。福来友吉の文章が附録についていて、本文にも千里眼の話が出て来る。千里眼といえばやはり御船千鶴子、何となく土地の縁を感じたので、つい買ってしまった。
 S'ちゃん大阪に帰る。

九月二十二日
 ひる過ぎ、勉強に倦んで(というか行き詰って)散歩。近所の本屋で『横井小楠先生を偲びて』復刻版かう。一昨日の熊日で紹介されていた。徳永洋氏の発見になるもので、多分今度の講演会*1でも、それにちなんだ話が聞けるのではないか。私は行けないけれど。
 午後、ちょいと余裕があったので、チャップリンの『黄金狂時代』を観た。もう何度目になるだろうか。しかし、以前よりもおもしろく思わず、心の荒みを感じる。
 夜、光の森のNへ。Sちゃんに送ってもらう。H家・K'家・K''家・N家の会合(二十人)。Mちゃん、K君、T君ともにお元気そう。Y君、H君はしばらく見ないうちに大きくなった。Rばちゃん、Mばちゃんとお会いするのは三年ぶりくらいか。K'叔父ちゃんもお元気そうで何より。「ボシタ祭」の話を皮切りに、T爺ちゃん、G爺ちゃんの話もきく。

九月二十三日
 朝刊で庄野潤三の死去を知る。Kちゃんの車で市街に出る。とある用事の為。
 途中でMに寄り、小田島雄志『駄ジャレの流儀』講談社文庫280、上野益三『日本博物学史』講談社学術文庫410。Aで内田魯庵『文學者となる法』復刻版300。Jで長澤規矩也『古書のはなし』冨山房500。
 Sちゃん達とOに憩い、その後Kちゃんに、Tの家まで送ってもらう。S伯父さん夫婦とその孫に会う。どういうわけか、孫のH君の波長が私と合うらしく、よく喋りかけてくれる。描いた絵を見せてくれたり、乗り物の絵本を見せてくれたりする。幼い頃の私によく似ている。
 ビールなどを頂きながら、巨人V3達成の瞬間を、T家で見る(私は巨人ファンである。後楽園球場時代から、巨人の試合しか見せてもらえなかったから、まあ要するに「腐れ縁」なのである。ちなみに、いちばん好きな選手は篠塚。―後記ス)。
 テレビを見ていて、巨人びいきに与ふだったか、物申すだったか、丸谷才一が『男のポケット』で書いていたことを、ふとおもいだした。埴谷雄高はメッツの試合結果を知るためだけにスポーツ新聞をとっていたとか、横溝正史近鉄の試合の途中経過を知るためだけにラジオをかけていたとか、そういう話。当時に較べると、今の世のなんと便利なことか。メジャーリーグでさえ、一球速報が見られる時代ではないか。
 帰宅後Kちゃんの車でTへ行く。Mちゃんも来る。

九月二十四日
 朝刊で大江志乃夫の死去(20日)を知る。ひる前、Sちゃんに送ってもらい、Hへ祖母の見舞。
 Kちゃんに空港まで送ってもらう。父の見送り。
 午前から夕刻まで、半ば留守番のような状態で業務に逐われる。夕刻、黒髪までさんぽ。K(ここは伏字にする必要はないが、あえて)に入る。矢野健太郎『未開人の數學』誠文堂新光社950。店番のおばさんがすごく感じの良い方。
 灯下で加太こうじ『昭和犯罪史』よむ。興味ふかいが、やや性急な部分も。

九月二十五日
 ひる前、Sちゃんの車で祖母の見舞。
 その後バスで市街に出る。Tで、松本清張『武士くずれ』中公文庫、柴田宵曲小出昌洋編『漱石覚え書』中公文庫かう。成瀬正勝の中公文庫と併せて読めばさらに面白いかも。
 某先生のいらっしゃるS大やKK大にも行きたいのだが、いつにもましてタイトなので、断念せざるを得ない。
 さらに夜、余計なことを考えすぎて、鬱々として心霽れず。いろいろの方にかけていただいたことばを反芻する。妙な夢を見たのもその所為だろうか。

九月二十六日
 今日は半日留守番。午前中、C先生、K先生にメール。その後は暫く勉強。
 午飯を買いに出たついでに、帯山あたりまで歩く。これもナマった体のための、一種のリハビリ。荻上チキと安田美沙子がKに来ているが、今日は市街に出られない。
 夕刻、Kちゃんに、賛否庵〜光森と連れていってもらう。途中Sちゃんと合流し、祖母の見舞と敬老の日のプレゼントも。
 夜、発熱。37.1→38.3→37.3。またまた迷惑をかけてしまった(ただでさえ迷惑のかけどおしなのに)。帰省となるといつもこれだから困る。冗談まじりに、「こっちにもっと居なっせ、と先祖に催促されてるんじゃなかろか」などと云われたのでわらう。
 しかし、数年前の帰省時の発熱よりもだるくはない。頭がぼうっとして体中が熱いだけ。ただ寝ているだけなのもシャクなので、寝転がりながらヒッチコックの『救命艇』を観る。やはり面白い。
 Mちゃんが薬を携えて来てくれる。最後の夜で、Kちゃん達の話の輪に加われなかったのが残念でならない。

九月二十七日
 10:00過ぎ起床、頭は重いが熱はなさそう。
 熊日書評欄で、岡崎武志氏の『心霊写真』評をよむ。
 Hで祖母の見舞。Mちゃんも来ている。それからK叔父ちゃんに空港まで送り届けてもらった。Kちゃん、Sちゃんも来る。またKちゃんに気を遣わせてしまった。
 ひる過ぎの飛行機でかえる。

【おまけ】

熊本のローカル局の天気予報(?)でかかっていた。局は忘れてしまったが……(説明しよう! 一般にはあまり知られていないが、熊本には、KKT、TKU、RKK、KABなど、県内に独立系ではないローカル局が多数存在するのである!)。

これも何故か熊本でよくきいた(ジェリー・ルイスを見たわけではなくて、ルロイ・アンダーソンの「タイプライター」をよく耳にした、という意味)。

自作自演版は初めてみた。アーサー・フィードラーのアルバムで聴いたことはある。機内のラジオでかかっていたので、懐かしくなって。

この曲をかけると、Kちゃんや母がしきりに当時のことを懐かしがっていた。

*1:橋本博「マンガと共に60年―戦後漫画私論」、渡辺京二「書物という宇宙」、徳永洋「古書で出会った横井小楠」など。詳しくは、キララ文庫の日記http://kirarabunko.cool.ne.jp/(9月18日)参照のこと。9月27日付の熊日の一面にも広告が出ていた。余裕があれば行きたかった……。