淡島千景のインタビュー本

higonosuke2009-04-11

ついに出たこちらも参照のこと)。
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獅子文六は、銀幕デビュー時の淡島千景に、筆で「ヘップバーン*1とコルベールの間に君の道がある」と書いた色紙を贈ったという(牧村健一郎獅子文六の二つの昭和』朝日選書,p.177)。
ところで私は、シャーリー・マクレーン*2にゾッコンだった時期があって、『アパートの鍵貸します』のラストでトランプ・ゲームに興じる彼女や、『ハリーの災難』(これが確かデビュー作)のドレス姿の彼女を見て、これぞ「西洋の淡島千景」だ*3、と感動したことがある。
君美わしく―戦後日本映画女優讃 (文春文庫)
その後、川本三郎氏が『君美わしく――戦後日本映画女優讃』*4で、「「てんやわんや」「自由学校」の淡島千景には、のちのシャーリー・マクレーンを思わせるような天性のコメディエンヌの魅力があった。とくに笑ったときの目が、なんとも可愛く、やさしく、ひきずりこまれた」(文春文庫版,p.65)と書いておられるのを読み、わが意を得たり! とおもったものである。だが、むしろ私は、その容姿がどことなく似ていると直感した*5のであって、淡島千景の初期出演作品での役柄からそう考えたのではなかった。
しかし何といっても、シャーリー・マクレーンには無い、淡島千景の第一の特徴は、あのすぼめたような口もとなのである。その「口もと」について、『君美わしく』は、「追記」で言及している(双葉十三郎の評を引く形で)。
たしか山藤章二の「似顔絵塾」(『週刊朝日』)だったかに、淡島千景の似顔絵が掲載されたとき、彼女の口もとのあまりのデフォルメぶりに半ば憤り、それでも半ば感心しながら眺めていたことがあった。

*1:キャサリン・ヘップバーン

*2:あえて言おう。「若い頃の」、と。

*3:淡島千景を「和製シャーリー・マクレーン」と呼んでもいいかもしれないが、銀幕デビューは淡島千景のほうが早いし、私はむしろそう呼びたいのである。

*4:この書名が、淡島千景の主演作品、中村登の『君美しく』から採られていることは、邦画好きの方ならきっとお気づきのことでしょう。

*5:同意してくれる人は殆どいないし、同世代には大体「それ誰?」と返される。