最近の看書記録など

 ※KSちゃんのリクエスト(?)にお応えして。論文以外。斜め読み、飛ばし読み含む。

四月某日
 海野十三『蠅男』(講談社大衆文学館)よむ。帆村荘六(ほむらそうろく)*1もの。

四月某日
 柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木』(文春文庫)よむ。先々月のテレ朝特番(開局50年記念)で、モハメド・アリ戦の検証が取り上げられたばかり。

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)

四月某日
 笠原一男校注『蓮如文集』(岩波文庫)よむ。また、小川環樹・武部利男共訳『三國志通俗演義』(岩波書店)を寝床で。

四月某日
 牧村健一郎獅子文六の二つの昭和』(朝日選書)、魯迅 藤井省三訳『故郷/阿Q正伝』(光文社古典新訳文庫)。太田尚樹『伝説の日中文化サロン 上海・内山書店』(平凡社新書)を部分再読(魯迅でフトおもい出す)。

四月某日
 開高健『片隅の迷路』(創元推理文庫*2をちらちらと。「徳島ラジオ商殺し」*3がモデル。新風舎文庫にも、渡辺倍夫のノンフィクションが入ってた筈。

四月某日
 塙作楽『岩波物語―私の戦後史』(審美社)、『狐媚鈔・化女集』(西日本国語国文学会飜刻双書)よむ。

四月某日
 長山靖生『テロとユートピア』(新潮選書)よむ。兵庫県立歴史博物館ほか『図説 妖怪画の系譜』(河出書房新社)眺める。

四月某日
 単純作業に倦んで、丸谷才一『犬だって散歩する』(文春文庫)などよむ。

四月某日
 中野三敏『江戸名物評判記案内』(岩波新書)100円をダブり承知で購い、電車の中でよむ。

五月某日
 北原尚彦『古本買いまくり漫遊記』(本の雑誌社)、ダウエ・ドラーイスマ 鈴木晶訳『なぜ年をとると時間の経つのが速くなるのか―記憶と時間の心理学』(講談社)を部分的に。

五月某日
 パオロ・マッツァリーノ反社会学講座』(ちくま文庫)部分再読、米原万里『打ちのめされるようなすごい本』(文春文庫)を飛ばし読み。東本願寺の至宝展の図録を眺める。

五月某日
 後藤正治『一九六〇年代の肖像』(岩波現代文庫)よむ。ポーラ文化研究所『幕末明治美人帖』(新人物文庫)眺める。まさかこれが文庫化されようとは、おもってもみなかった。

幕末・明治美人帖 (新人物文庫)

幕末・明治美人帖 (新人物文庫)

五月某日
 永井荷風『江戸芸術論』(岩波文庫)、松原隆一郎『経済学の名著30』(ちくま新書)よむ。

六月某日
 某さんの御質問に対して、有益な答えが出て来ないままであったが、或る本にヒントを見つける。吉川幸次郎阮籍の「詠懐詩」について』(岩波文庫)よむ。

六月某日
 Kさんの指導すこし。高橋英夫編『林達夫芸術論集』(講談社文芸文庫)を見る。簡野道明『字源』縮刷版に触れた「辞書について」は無し(中公文庫版『文藝復興』や『日本の名随筆』に入っている)。

六月某日
 柳澤愼一『明治大正 スクラッチノイズ』(ウェッジ文庫)よむ。たいへん愉しい。

七月某日
 中川一徳『メディアの支配者(上)』(講談社文庫)。ずんずん読める。フジの日枝会長は七月号の『文藝春秋』に。頼近美津子さんが亡くなったばかり*4なので、描写が生々しく感じられる。

メディアの支配者(上) (講談社文庫)

メディアの支配者(上) (講談社文庫)

七月某日
 加藤文元『物語 数学の歴史』(中公新書)よむ。白川静先生の著作の引用があってびっくり。そう云えば、吉田武先生の『虚数の情緒』にも、『中国古代の文化(民俗?)』の引用があったっけな*5。Kさんがビールを下さる。

七月某日
 なぜか大いに疲弊。Nの百均で拾った古山高麗雄点鬼簿』(講談社)よむ。また、Rの百均で拾った目加田誠『洛神の賦』(講談社学術文庫、カバ缺)よむ。目加田先生の学術文庫三部作のひとつ。「聞一多評伝」を読まんがためであったが、回想記でもある「『解説』にかえて」がめっぽう面白い。塩谷温宇野哲人、服部宇之吉、武井一雄(臨川書店の創業者)、小川環樹魯迅竹内好、愈平伯、周作人、松枝茂夫、青木正児など色々出て来る(内山書店もちらと出て来る)。
 「私はこの『神』とか『気』とかいうような、ことばの概念によって中国の文芸論を試みようとした。前には『雅』を論じ、後には『癡』ということばでそれを試みた」(p.338)というのが、『中国の文芸思想』に結実した。

洛神の賦 (講談社学術文庫)

洛神の賦 (講談社学術文庫)

七月某日
 某さんにお返しで本を二冊。『菊池寛のあそび心』(ぶんか社文庫)よむ。平山蘆江編『ポケット小唄集 全』(文雅堂)眺める。蘆江の死後に出た本だが、別の形で生前にも出たのだろうか? また、室生犀星『庭をつくる人』(ウェッジ文庫)を。「客も揖(しふ)を交した」(p.156)とあるのは、これは確かに両読字であるが、ふつう「揖(いふ)」ではないか。


七月某日
 足の痛みが引かない。困ったものである。大島正二『唐代の人は漢詩をどう詠んだか―中国音韻学への誘い』(岩波書店)よむ。武村政春『妖怪を科学する!』(メディアファクトリー)よむ。

唐代の人は漢詩をどう詠んだか―中国音韻学への誘い

唐代の人は漢詩をどう詠んだか―中国音韻学への誘い

*1:名はシャーロック・ホームズに由来する。因みに、徳川夢声「オベタイ・ブルブル事件」では、六車家々(ろくしゃ・いえいえ)という名の探偵が活躍する。

*2:このあいだ、創元推理文庫の創刊五十年を記念する冊子が出た。

*3:最近では「痴漢冤罪事件」でも知られる秋山賢三氏が、再審開始に関与している。

*4:本人は生前、鹿内家とはもう一切関わりを持たないと述べていたけれども。

*5:白川先生の「文字講話」では、高校時代にお世話になった化学の先生にバッタリお会いしたこともあるし、白川学ファンには理系の方が多いのかも知れない。