珠玉の作品三本立て

チャンネルnEcoでやっていた、「廿世紀シネマ・ライブラリー 風変わり! PR映画」三本立てを観る。いずれも短い作品ですが、おもしろい。

『わたしは女性No.1』(1950,日本映画社)

演出:中村敏郎・庵原周一、音楽:三木鶏郎グループほか、主な出演者:松島トモ子巌本真理美空ひばり田中絹代、霧島のぼる、市丸、長谷川町子、水の江滝子、貝谷八重子。著名人から無名の人物にいたるまで、とにかくたくさんの女性たちの活躍をえがいた映画です。似た映画は戦前にもあって、たとえば『婦人の職業 優しき力』(1926,文部省)がそれですが、こちらは著名人が出てきません。
ほかにも、銃後を守る女性たちを描いた『戰ふ女性』(1939,朝日映畫)、『漁婦』(1940,讀賣新聞社)、『結婚進軍譜』(1943,電通映畫製作所)、『わたし達はこんなに働いてゐる』(1945,朝日映畫)などといった類似作品があるようです(これらは題名からも分るとおり、戦意昂揚をねらった映画なのでしょう)。また、1952(昭和二十七)年ころから、いわゆる「恐妻」ブームがおこり、映画界もそれを敏感に察知してとりいれていますが(恐妻映画についてはいずれ取上げるつもりです)、この作品にもその要素をみることができます。
ところで本作品には豊吉も出ているのですが、その豊吉の「豊吉とかけて、二百十日と解く。そのココロは……荒れたら怖い」という台詞には笑いました。

『気まぐれ三輪栗毛』(1954,日本映画新社)

演出:太田皓、主な出演者:柳家金語楼トニー谷柳家金語楼が、東洋工業(現・マツダ)本社のある広島から、東京日劇まで約1136kmにおよぶ全行程を、三輪トラック(見たことがないのにどこか懐かしい)に乗ってキャンペーン。そのときの様子をフィルムに収めた記録映画です。九泊十日の旅を、金語楼自らが実況。自虐的な「禿げ頭」ネタがおおかったのですが、笑いました。

『赤い帽子』(1957,日本映画新社)

演出:丹生正、主な出演者:玉川伊佐男東洋紡績株式会社の企画による、毛糸のPR映画です。赤い毛糸の帽子をひろった人に、次々と幸せが訪れる…という物語仕立ての映画になっています。様々な人の手にわたり、最後は店頭のマネキンの頭のうえにもどってきます。かなり鮮明で美しいカラー映像です。前衛的なイメージ画像もあり。