かなしき少女たち

『何故彼女等はそうなったか』(1956,新東宝

監督・脚本:清水宏、助監督:石井輝男、製作:松本常保、原作:竹田敏彦『少女の家』、撮影:鈴木博、主な配役:香川京子(小田先生)、高橋豊子(園長先生)、池内淳子(小森千代)、三重明子(長谷川米子)、三ツ矢歌子(山下君子)、井波静子(佐藤常子)、藤木の実(宮井トミ子)、浪花千栄子(赤線の内儀)、若杉嘉津子(赤線の女)。題名は、鈴木重吉のいわゆる「傾向映画」、『何が彼女をさうさせたか』(1930,帝國キネマ)を意識しているのでしょう。映画は、いろいろな少女の視点からえがかれているため、オムニバス作品のようなオモムキがあります。
「少女の家」からたとえ出られたとしても、世間は彼女たちに冷たく、親はつらくあたる。時代が生んだ少女たちが、同じ過ちをくりかえしたり、赤線に売り飛ばされたりして、結局は時代の波に翻弄されることになります。この皮肉。香川京子(それにしても美しい)の悲痛なナレーションでしめくくられます。なんともいえない、寂しい作品です。
ちなみに、今井マサ役として、田原知佐子(のちの原知佐子)が登場しますが、彼女は実相寺昭雄の妻で、これが実質的なデビュー作品です。