ミリオン・ブックス

晴れ。
ザ・ベスト・オブ・マルクスブラザース [DVD]
きのう買った、平井昌夫『新版・魅力のある会話―話しことばの研究室―』(講談社ミリオン・ブックス)には、巻末に「ミリオン・ブックス総目録」が附いていて、(昭和三十七年五月の段階で)このシリーズにどんな本が入っていたか分るようになっている。池田弥三郎『はだか風土記』『はだか源氏』、三浦つとむ弁証法はどういう科学か』『日本語はどういう言語か』、きだみのるの一連の著作が入っていることは知っていたが、文学作品がこんなに沢山入っていたとは知らなかったし、また意外だった。
昭和四十年、このシリーズに岩淵悦太郎『現代の言葉』も加わるのだが、その講談社学術文庫版(『日本語を考える』と改題)で、大石初太郎氏が以下のように書いている。「本書はもと『現代の言葉』の名で、講談社のミリオン・ブックスの一冊として刊行されたものだった。(中略)ミリオン・ブックスには多少低俗な内容のものが含まれていたが、学術文庫は、既刊・続刊の目録を一覧したところ、その名にふさわしく高度の教養書をそろえている。本書は内容からいって、今度のほうが所を得たといえる」(「解説」,p.221)。私が「ミリオン・ブックス」の存在を知ったのは、確かこの一文によってであったと思う。
その「多少低俗」というイメージが抜けていなかったので、文学書が多く入っているということが、恐らくは意外に感じられたのだろう。
高峰秀子『つづりかた巴里』(角川文庫)をちょっと読む。『宗方姉妹』に「むなかたしまい」というルビが振ってあるが(p.220)、これは間違いで、「むねかたきょうだい」と読むのが実は正しい。数年前の「小津ブーム」によって、この作品も少しは有名になったのかもしれないが、一応ここで強調しておく。
ある文学作品か何かで、「叱言」に「しつげん」とルビを振ったのは編集者の怠慢だ、ここは「こごと」とあってしかるべきところだ(引用は不正確)、と高島俊男氏が書いていたことを思い出した。
夜、サム・ウッドマルクス一番乗り』(1937,米)を観た。やや退屈なシーンもあるが(「水上ショー」等)、チコの十八番 pistol shot technique が見られるのが嬉しいし、グルーチョとチコの「馬券のギャグ」が本当に楽しい(小林信彦『世界の喜劇人』に記されていた覚えがある。確かめずに書くけど)。ついでにいうと、『一番乗り』はゼッポが抜けたMGM時代の作品だから、画像(四兄弟パラマウント時代のDVD集)とは無関係です。