松井栄一の本

昼から大学。
そんなに金があるわけではないが、松井栄一*1『国語辞典はこうして作る―理想の辞書をめざして―』(港の人)ISBN:4880083461。これは、チェックしていなかった。
初出誌は、『総合教育技術』とか『ザ・文章設計』とかだから、『日国』第二版*2にもふれた『出逢った日本語・50万語―辞書作り三代の軌跡』(小学館)などと較べると、情報は古い。たとえば、「ゆびざす(指差す)」という言葉(p.11-12)については、すでに『国語辞典にない言葉―言葉探しの旅の途上で』(南雲堂、p.70-72)が、本書よりも「新しい」情報を載せている。
しかし、なかなか読めそうにない文章を収めているので、つられて買った。それに、出版元があの「港の人」なのである。「港の人」の本を買ったのは、実は初めてのことだ。辞書や辞書編纂史には興味があるので、「和英語林集成」や「日本語辞書研究」が出たときにはやはり食指が動いたけれど、とても買えなかった。
ところで、松井栄一氏は「あとがき」に、「小学館から本を出すことになり、その完成を急いでいた(中略)。その後、平成十四年と十六年に約束を果たすことができ」(p.260)云々と書いておられるのだが、「平成十四年」刊というのは『出逢った日本語・50万語』のことで、「平成十六年」刊というのは『「のっぺら坊」と「てるてる坊主」』のことであろう。後者は、まだ買っていない。
「辞書の本」といえば、本田毅彦『大英帝国の大事典作り』(講談社選書メチエ)なんて本も出ていたのだっけ。これもいずれ読みたいな。

*1:「まついしげかず」。松井驥の息子、つまり松井簡治の孫である。とある本(小学館の本!)が、誤ってその名に「ひでかず」というルビを振っていた。

*2:『日国』といえば、『精選版 日本国語辞典』がもうすぐ出るが(讀賣や日経の広告でも見た)、どんな基準で語を選択しているのだろう。新項目・新用例はどれくらいの割合で増えているのだろうか。