「敗戦後」の映画

『やっさもっさ』(1953,松竹)

監督は、澁谷實。原作は、獅子文六。音楽は、黛敏郎
敗戦後の問題が、ギュッと凝縮された映画です。敗戦によるトラウマ、パンパンガールと混血児、「戦後民主主義」、そして朝鮮戦争…。
夫婦間の問題もテーマになっているのですが、そこに様々のエピソードが織込まれています。「育児制限」をうったえる婦人運動家(しかし彼女のことばは、パンパンにはまったく通じていないところが面白い)、大西説子を演ずるのは、あの高橋豊子。『東京物語』(同年公開)の例のオバサンだとは、とてもおもえません。
主演に、淡島千景(志村亮子)と小沢栄(志村四方吉)。脇を、佐田啓二(赤松太助。三流の野球選手です)と桂木洋子*1(花咲千代子。シュウマイ売りの娘です)の美男美女カップルがかためています。
ラストの、バズーカお時(倉田マユミ)とトム(エリザベス・サンダース・ホームから出演している子役です)が階段をのぼってゆくシーンが、音楽の効果もあって印象的です。

*1:故・黛敏郎の奥さんです。1963年に、女優業を引退されたそうです。