ダンボールに本を

これを書いている途中で、訃音をききました。二十日に丹羽文雄さんが亡くなったそうです。享年百。
この日は*1晴れ。昼間は暑いくらいです。
昼過ぎに大学へ。
劉中富(2004)「《干禄字書正字的性質及其来源」を読む。一昨年の「古籍整理研究学刊」に掲載された劉氏の論文は、「并正」というターム、及び「俗・通・正」の三体を包括的に論じるものでしたが、本論文はもっぱら「正体」についてのもの。特に、「正体」が何に由来するものか―という問題について考究しています。やはり『説文解字』由来のものがおおく、それ以外の正体は、隷書の出現によって簡略化された字体が採用されたものであることを論証しています。
呂浩(2004)「《名義》音義舛拗考辨」を読む。「名義」は空海『篆隷万象名義』の略称。宋代『玉篇』と、日本の原本系『玉篇』(残巻)とを比べてみると、かなりの出入があることが分る。そこで、原本『玉篇』はどのような本であったか―ということが問題となって来ます。しかし、原本『玉篇』が佚したいまとなっては、『名義』が原本の内容を復原するのに最も重要な著作である。そのことをあらためて強調しています。ところが、『名義』は親字、釈義、音注部に過誤がある。それらを、諸書を博捜して正そうとする試みです。
先輩の発表を聞いてから、午後七時に、Qさん、K君と大学を出る。
帰途、F書店で重松清『明日があるさ』(朝日文庫)を購いました。巻頭から、いきなり「マンモス西」(笑)。
帰宅すると、箱屋ドットコムから、書籍収納用のダンボールが届いていました。平積みになっている*2書籍を収めるために注文したものです。背表紙のレイアウトなど考えずに、手当たり次第に詰めてゆきました。ところが、全然足らなかった(笑)。
でも、あんな本やこんな本が見つかって、楽しかった。

*1:というのはつまり、二十日(の昼間)になってから書いているということです。上からもお分りでしょうが。

*2:書店ではないのだから、「平積みにしている」とでもしておくほうが正確か? 平積みでもべつに構わないのですが、下のほうの本を取り出すのが面倒になってくるので、どちらかというと、棚とか箱とかに収まっているほうがいいわけです。