大学生のための…

晴れ。
大学生の論文執筆法 (ちくま新書)
午後から大学。夜帰る。石原千秋『大学生の論文執筆法』(ちくま新書)を読む。二部構成。第一部では、役に立ちそうな部分と立ちそうにない部分、同意できる提案と同意しかねる提案とがあったが、全体的には面白く読んだ。
同意しかねる提案というのは、例えば「まず図書館に行こう」(p.110)。読みようによっては、古い本は「死んだ本」で、そこに書いてある学説も古い、と読めてしまうのだが、これはジャンルによって状況の異なる話なのではないか。七十年まえに書かれた論文が未だに読まれている、ということもザラにあるのではなかろうか*1
また、「次に大型書店に行こう」「本は買おう」「蔵書ノートを付ける」「新書を買おう」などといった提案には同意したが、「古本屋に行こう」が無いのが残念だ。
「フランス装」を知らない書店員と女子学生の話(p.122)も出て来て、これには笑った。それから、 p.128 の「宿題」の答えって、もしかして、N.S.氏の訳で岩波から文庫になって出た本のことかな(というか、真面目に読んだ哲学書は数冊しかないので…)。語り得ぬことがらについては、とりあえず沈黙しておこう。
第二部も面白く読んだが、もうこれ以上は書かない。

*1:私は、ある人が一生涯かけて思索しつづけた問題を、或いは「ある人」そのものを、簡単に「乗り越える(超える)」と云ってしまってはいけないだろう、とつねづね思っており、最近立読みした苅部直丸山眞男リベラリストの肖像』(岩波新書)のあとがきだったかに同じようなことが書かれていて、大いに意を強くしたものであった。これは余談。