「いつまでも昔のことを考えたって仕方がないだろう」(富岡兼吉)
「昔のことが、あなたとあたしには重大なんだわ。それをなくしたら、あなたもあたしもどこにもないじゃないですか」(幸田ゆき子)

成瀬巳喜男浮雲』(1955,東宝)より。原作:林芙美子*1

*1:原作では、次のようになっています。…富岡は(中略)「うるさいねえ、もう、君も疲れてるから、少し眠るといいよ。いつまでも昔のことなんか考えたって仕方がないよ」と言った。「まア! ずいぶん薄情な人だわ。昔のことがあなたと私には重大なンだわ。それをなくしたら、あなたも私もどこにもないじゃないンですか?(以下略)」。…『日本文学全集48 林芙美子集』(集英社,1966)によった。