眞に書を讀むものにとつて、この世界は何と廣大なものであらう。宇宙の寶庫は門を開いて、われわれのはいるに任せ、とるに任せてゐる。この庫にはいつて、あれもこれもと胸躍らせるものに、この世はまたとなく樂しいものである。

河合榮治郎『學生に與ふ』(1940)より。