古書市

雨。
OMMの古書市に行ってきました。
まず会場に入り、どこから手をつけようかと迷いましたが、とりあえず入口附近の「悠南書房・キトラ文庫」を覗く。欲しいものが沢山あったけれど、ここは我慢。「げんせん舘・百済書房」で映画関係の本を立読みする。たとえば、三國一朗『徳川夢聲の世界』(青蛙房)が1500円、飯島正『ぼくの明治・大正・昭和』(青蛙房)が2000円で売ってありました。飯島正の本は、会場内のあちこちで見かけました。
「阪急東書房・厚生書店」で、
・『暮しの手帖 第10号』(暮しの手帖社,1971)500円
高田保『第2ブラリひょうたん』(創元社,1950)200円
・『文學 特輯:國語と國字』(岩波書店,1941)100円
を購う。『暮しの手帖』を買ったのは、「国語の辞書をテストする」という特集記事があるため。某先生が教えて下さいました。『暮しの手帖』がかつて八種の国語辞書を「テスト」したことがあるというのは、金武伸弥『「広辞苑」は信頼できるか』(講談社,2000)で知りましたが、具体的な巻次は知りませんでした。『ブラリひょうたん』(第一集)は、別の店舗に500円で売られていましたが、そちらは買わず、第二集のみ買いました。
次に、「中尾松泉堂書店・カズオ書店・庭香書店」で、
・鎌田禎志庸 撰『増補掌中以呂波韻大成(全)』(不明,慶應元=1865)200円
・不明『各國々名譯字記』(不明)100円
・寶文館編輯所編纂『新式 國語假名遣便覽』(寶文館,1908)100円
文藝春秋編『昭和のエンタテインメント50篇(上)(下)』(文春文庫,1989)500円
を購う。庭香書店の方に話しかけられる。柏書房の宛字辞典の話などする。『増補掌中以呂波韻大成(全)』は帖装本。虫損あり。『各國々名譯字記』は種姓のよく分らない小冊子ですが、国名や地名(外国)の宛字をあつめています。外来語の宛字辞典等では見たことのないものがあって、漢字マニアが喜びそうな本。「堀越藏書」なる蔵書印が附いています。『昭和のエンタテインメント』は、良い書き手がたくさん揃っているアンソロジー。別の店舗では、上下分売でした(各300円)。
「古書籠目舎・もっきりや・古書象々・古本ぶんさい他」の文庫コーナーには、山田風太郎とか横溝正史とか半村良とかの文庫がたくさんありました。とくに目を引いたのが、角川の横溝正史文庫。『シナリオ悪霊島』や小林信彦編『横溝正史読本』(背が赤と黒の二種類あるらしい)はありませんでしたが、『金田一耕助の冒険』の初版(このシリーズにしては珍しく、表紙に金田一耕助自身が描かれている)1000円と三版800円、それから映画化されてから二分冊になったバージョン(『姑獲鳥の夏』分冊文庫版のようなもの、といえばピンとくるかもしれません)の『金田一耕助の冒険(上)(下)』はありました(こちらの装釘は和田誠さん)。『八つ墓村』の初版はさすがにありませんでした。また、「もっきりや」の漫画コーナーには、虫コミックス版の『ゲゲゲの鬼太郎(四巻〜六巻)』が一冊3000円で売ってありました。かなりの美本でした。私は、「古書象々」で、次の二冊を購入。
加藤康司『校正おそるべし』(有紀書房,1959)500円
現代言語セミナー編『昭和ヒーロー事典 芸能編』(講談社文庫,1989)400円
加藤康司さんの『辞書の話』(中公新書,1976)が非常におもしろかったので、『校正おそるべし』は即買い。ウマイ書名です。『昭和ヒーロー事典』は、スポーツ編も売ってありましたが(400円)、邦画好きの私は、とりあえず芸能編だけ買うことに。それにしても、現代言語セミナー。こんなに面白い本を、かつて書下ろしで出していたとは。なめてかかっていました。
「クライン文庫・りーち」には、三冊1000円、五冊1000円のコーナーがあったので、
・尾上八郎『平安朝時代の草假名の研究』(雄山閣,1926)
・眞鍋儀十『浮世哲學 癇癪玉』(中和書院,1927)
・東條操『国語学新講』(筑摩叢書,1965)
を買う。三冊で1000円。眞鍋氏は、たしか逮捕歴のある代議士だったかと…。他に、森赫子『女優』(実業之日本社)500円があったり、佐藤弘人『はだか随筆』(中央経済社)300円があったりしました。
これくらいでもうやめておこうと思ったのですが、「阪急東書房・厚生書店」に戻ると、ひじょうに面白そうな本があるのを見つけました。五冊で3000円ですから、かなり迷いましたが、金銭にまだ余裕がありましたし、後悔はしたくなかったので思い切って購入。
・森川龍文堂營業部『活字の種類 印刷便覽』(森川龍文堂)
・森川龍文堂『新體明朝活字』(森川龍文堂)
・森川龍文堂『漢文正楷書標本』(森川龍文堂)
・森川龍文堂『新聞活字』(森川龍文堂)
・森川龍文堂『歐文活字標本』(森川龍文堂)
これが五冊で3000円。活字の見本帖です。有名な「龍宋体」もあり。いずれも刊行年は不明。