朔太郎の詩

何日か前の「正式の証明」で、今日の「徹子の部屋」が「森繁久彌」特集だと知り、見る。
森繁が諳んじている「利根川のほとり」は、私も好きな詩だ。萩原朔太郎に心惹かれた時期があったことを思い出した。年齢のせいもあったろうが、あるひとから影響を受けたのである。

きのふまた身を投げんと思ひて
利根川のほとりをさまよひしが
水の流れはやくして
わがなげきせきとむるすべもなければ
おめおめと生きながらへて
今日もまた河原に来り石投げてあそびくらしつ。
きのふけふ
ある甲斐もなきわが身をばかくばかりいとしと思ふうれしさ
たれかは殺すとするものぞ
抱きしめて抱きしめてこそ泣くべかりけれ。
(那珂太郎編『萩原朔太郎詩集』旺文社文庫,p.171)