出口王仁三郎

昨年末、「くうざん本を見る」(12.25)で話題になっていた、「出口王仁三郎」の名の読み。「おにさぶろう」か「わにさぶろう」か、という問題。
「くうざん本を見る」にも書かれているとおり*1、これは実は「でぐちおにさぶろう」が正しい。また、ここによれば、新聞や雑誌が「わにさぶろう」と書き立てて揶揄したことによって、その「誤読」が広まってしまったのだという。試みに幾つか確認してみると、例えば別冊宝島の『日本「霊能者」列伝』などでは、ルビが「おにさぶろう」となっているのだが、「わにさぶろう」を正しい読みとするものもある。

喜三郎(王仁三郎の本名―引用者)は綾部で直(なお)に会い、おたがいの体験や信仰に多くの共通点を見出して、協力することを誓った。ここに大本教が新しく出発する。このとき直は六十三、喜三郎は二十八歳だったが、まもなく彼は直の末子すみ*2と結婚し、出口王仁三郎*3(わにさぶろうとも読む)と改名した。名前の由来は、彼がまだ郷里の穴太にいるころ、喜三郎をもじって鬼三郎と書いたことがあるが、鬼三郎はオニサブロウとも読めるところから来たものであった。
杉森久英『昭和の怪物たち』河出文庫所収「風雲を呼ぶ男」,p.256)

「名前の由来は」云々というのは初耳であるが、ここで著者の杉森氏は、「おにさぶろう」・「わにさぶろう」何れも正しい読みと看做している。
ちなみに、王仁三郎の生涯を描いたこの「風雲を呼ぶ男」は、「忠相の読み方」という話題から始まる。ここには、二十代前半の教師が「大岡越前守」の名を「タダアイ」と読んだことに対して、十三歳の喜三郎少年が、「それはタダスケではないのですか」と食ってかかる――という興味深いエピソードが引かれている。

*1:コメント欄も必読。

*2:又は「すみこ」。リンク先のWikipediaでも、「すみこ」となっている。

*3:ルビは「おにさぶろう」。