天の川叙情

晴れ。
ラフカディオ・ハーン 池田雅之編訳『妖怪・妖精譚【小泉八雲コレクション】』(ちくま文庫)を読む。これに「天の川叙情」(The Romance of the Milky Way)という素晴らしいエッセイが収められている(pp.157-72)。編訳者の池田氏は、「再話というよりは七夕祭の故事来歴をつづった美しいエッセイで、とくに若い読者にこの作品の存在を知ってもらおうと、抄録した」(p.544)と書いている。
初めて読むエッセイだのに既読感があったのは、佐竹昭広『古語雑談』(岩波新書)所収の「ねぶた流し」(pp.18-22)を読んでいたからであろう(と、これは後になって思い出した)。この小文は、ハーンが「天の川叙情」*1のなかでふれた「ネム流し」という行事について書かれたものであった。
それにしても、『古語雑談』。この書名はどう読むべきなのであろうか。「コゴザツダン」? 「コゴゾウタン(ザフタン)」? それとも、「コゴゾウダン(ザフダン)」? というのは、この本に「雑談」という語じたいがとり上げられていて、古くはこれが「ゾウタン」と読まれていたこと、次いで江戸末期には「ゾウダン」と読まれるようになったことに言及しているからだ。奥付の書名にルビが振られていないので不明だ*2

*1:佐竹氏は、平井呈一の訳文にもとづいて引用しているので、「天の川のロマンス」という題名で紹介している。

*2:だが、「はなし」項には、「古語についての雑談をするということは、古語について『はなし』をするということである」(p.1)とあって、その「雑談」に「ざつだん」というルビが振られている。