久々のバトン

曇り。
午後から大学。夜帰る。松本清張『対談集 発想の原点』(双葉文庫)を購う。対談相手は、佐野洋五木寛之井上ひさし筒井康隆の四人。約三十年前に双葉社から刊行されたものだそうだが、知らなかった。これまで双葉文庫といえば、(私にとっては)「呉智英の」というイメージがあったのだが、「清張初文庫化作品集」というジャンルが確立され(これがなかなか売れているみたい)、更にはこんな対談集まで復刊された。一ファンとしても、本当に喜ばしいことである。
↑さんからバトンが廻って来たので、以下で回答します。久々のバトン。
お題は「小説」らしい。しかし、私は沢山の小説を読んできたわけではないので(偏食気味なので)、期待外れに終わるであろうと予め言っておきます。
◆最近思う【小説】
最近の小説もそうなのですが、特定の作家のもの(堀江敏幸とか保坂和志とか村上春樹とか)しか読んでいないので、分りません(↑さんのほうがよくご存じなのではないかと)。
堀江氏の『雪沼とその周辺』『河岸忘日抄』や、保坂氏の『カンバセイション・ピース』は良かったです(『カンバセイション〜』は最近文庫オチしました)。重松清『口笛吹いて』や、町田康『告白』なども結構面白かった。
「最近の小説」に話を限定するならば、劇的なストーリー展開の小説よりも、「何かが起こりそうでいて、何も起きない」小説が好きだったりします(あ、でも、京極夏彦の初期の小説は好きです)。
◆【小説】は?
これは、「自分にとって『小説』とは?」ということなのでしょうか。
だとすれば、「小説を読む」のは、現実逃避の一手段、ということになりましょうか。但し、本のなかでとりわけ「小説」が好きだというわけではありません。本好きにしては、小説をあまり読んでいません。
◆好きな【小説】
「一作家一作品」で。内容が好きなのと、文章や文体が好きなのとがありますが、特に区別はしません。
ゲッこんな作品も好きだったの、というのも混じっているかと思います。
獅子文六『父の乳』、松本清張『黄色い風土』、坂口安吾桜の森の満開の下』、国枝史郎神州纐纈城』(未完というのが残念)、江戸川乱歩『化人幻戯』、葛西善蔵『子をつれて』、石川淳『紫苑物語』、谷崎潤一郎春琴抄』、庄野潤三プールサイド小景』、高山樗牛『瀧口入道』、丸山健二正午なり』、結城昌治『終着駅』、夢野久作ドグラ・マグラ』、沼正三家畜人ヤプー』、トーマス・マン魔の山』、ジョルジュ・バタイユ(ロード・オーシュ卿)『眼球譚』、ルイ=フェルディナン・セリーヌ『夜の果てへの旅』*1イーデン・フィルポッツ赤毛のレドメイン家』、蘭陵笑笑生『金瓶梅*2
最近読んだもので良かったのは、梅崎春生桜島』、ニコライ・ゴーゴリ『ディカーニカ近郷夜話』、小沼丹『黒いハンカチ』。
◆こんな【小説】は嫌だ
未練たらたらの「極私的」恋愛話(が、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』や久米正雄『受験生の手記』などの失恋話は嫌いではない)。中身がないのに改行の多い小説。
◆次に廻す5人と1個
申し訳ないのですが、これはパスさせて下さい。「本」とか「映画」とかのテーマを考えてはみたものの、お訊きしてみたい方が多すぎるので。

*1:中公文庫旧版は『夜の果ての旅』。

*2:以上のうち、ブログ上で触れたことのあるものは、『黄色い風土』『桜の森の満開の下』『化人幻戯』『正午なり』『ドグラ・マグラ』『魔の山』『眼球譚』『夜の果てへの旅』あたりではなかろうか。