狂四郎最大のライバル

眠狂四郎 無頼剣』(1966,大映

眠狂四郎無頼剣 [DVD]
監督は、三隈研次。脚色は、伊藤大輔。撮影は、牧浦地志。
シリーズ第八作。狂四郎(市川雷蔵)のライバルとして、愛染(天知茂)が登場します。
シリーズ屈指の傑作といわれるだけのことはあって、特にラストの円月殺法円月殺法(狂四郎対愛染)が、ゾクゾクするほど格好良い。そしてそのラストで、屋根からぱらぱらとこぼれ落ちる、竹細工のおもちゃの哀しさよ。ここに演出の妙を見ました。
今回の狂四郎は、あまり表に出てきません。それに、妙にフェミニンでヒューマニスティックなところがあるから、作者のシバレンも「これは狂四郎ではない」と言ったとか言わないとか。けれども、新たなメイクで、より一層「翳」のある存在として、キャラクターが確立されつつあった段階の狂四郎を観ることができます。その面でも、傑作ということができましょう。脚本もよく練られています。

鉄道員(ぽっぽや)』(1999,「鉄道員」製作委員会)

鉄道員(ぽっぽや) [DVD]
監督は、降旗康男。原作は、浅田次郎
二回目の鑑賞です。広末涼子(佐藤雪子)は、思ったほど悪くはありません。筋を追うよりも、画を愉しむべき映画なのかもしれません。
ネタばらしになってしまいますが、ラスト間際、ほろまい駅で倒れている高倉健(佐藤乙松)をクロースアップでまず捉え、カメラが引いていくシーンは上手いとおもいました。しかし、しばしばインサートされる回想シーンにまとまりが無いのが、すこし残念です。