『眠狂四郎 無頼剣』(1966,大映)
監督は、三隈研次。脚色は、伊藤大輔。撮影は、牧浦地志。
シリーズ第八作。狂四郎(市川雷蔵)のライバルとして、愛染(天知茂)が登場します。
シリーズ屈指の傑作といわれるだけのことはあって、特にラストの円月殺法対円月殺法(狂四郎対愛染)が、ゾクゾクするほど格好良い。そしてそのラストで、屋根からぱらぱらとこぼれ落ちる、竹細工のおもちゃの哀しさよ。ここに演出の妙を見ました。
今回の狂四郎は、あまり表に出てきません。それに、妙にフェミニンでヒューマニスティックなところがあるから、作者のシバレンも「これは狂四郎ではない」と言ったとか言わないとか。けれども、新たなメイクで、より一層「翳」のある存在として、キャラクターが確立されつつあった段階の狂四郎を観ることができます。その面でも、傑作ということができましょう。脚本もよく練られています。