糞尿譚

昼食後に書籍部へ行くと、円満字二郎人名用漢字の戦後史』(岩波新書)があったので買う*1。ついでに、田原編『谷川俊太郎詩選集2』(集英社文庫)を買う。そういえば高校生のころ、『コカコーラ・レッスン』に影響をうけて詩を書いていたK君という友人がいました。
午後は大掃除。本を出し入れして拭き掃除をしていると、仏足石歌の索引が出てくる。大掃除終了後、ちょっと寛いでから帰りました。
中国書法史を学ぶ人のために
杉村邦彦編『中国書法史を学ぶ人のために』(世界思想社)再読。特に第四章第四節「顔真卿研究」、第五章第五節「資料解説」あたりを丹念に読む。顔書の書体そのものよりも、それがいかに受容されたか、いかに重んじられたかということのほうに興味があります。それにしても、大野修作「集古録跋尾の成立について」(『東洋藝林論叢―中田勇次郎先生頌寿記念論集』平凡社,1985)が気になる。「集古録跋尾」は、欧陽脩が金文石刻の拓本を集めて解説を加えた本。『石刻資料新編』にも収めてあります。
夜、野村芳太郎『伴淳・森繁の糞尿譚(ふんにょうだん)』(1957,松竹)を途中まで観る。小森彦太郎(伴淳三郎)が市役所に嘆願書を提出して成功を収めるシーンまで。原作は火野葦平『糞尿譚』。第六回芥川賞受賞作。チョイ役ですが、火野自身も映画に登場します。私の好きな名脇役山茶花究も出ています。また二世渋谷天外が、衛生課課長の杉山に扮しています。
ルビつきの「糞」「尿」「譚」が順番に、画面一杯にあらわれると、俯瞰ショットで北九州の湾岸部が捉えられ、「社長シリーズ」をおもわせるほがらかな音楽(芥川也寸志)が鳴り響く。いかにも、面白そうな映画がはじまることを予感させるに足るオープニングです。
某先生にその存在をご教示頂いた、李榮『切韻音系』元版の序文。

本文初稿是一九四五年九月七日至十月二十七日在昆明寫定的。同年十一月九日至十九日鈔出全文的三分之一作北京大學研究院文科研究所語學部的畢業論文,題目是‘切韻音系中的幾個問題’。一九四六年二月三日(陰暦丙戌年正月初二日)口試通過。一九四八年秋冬之交改寫第二次稿本。單字音表原來是根據廣韻的這一次根據故宮博物院景印的唐寫本王仁昫刊謬補缺切韻重寫。別的更動限於措辭的方式,安排的次序,論證的補充,主要意見沒有甚麼不同。一九五〇年十月十一日據第二次稿本略加修改,成為第三次稿本。一九五一年八月付印。這是北京解放的第三年。距離初稿寫定已經六周年。
 羅莘田師,唐立菴師,袁家驊師,他們三位是我在北京大學研究院的導師。我對他們的教誨表示謝意。
 作者十分榮幸本文付印前,承丁梧梓先生賜閲,指正多處。
李榮
一九五一年冬至
文字コードの部分(「莘」と「驊」)が、webブラウザに貼り付けると見えると教えて頂いたので、貼り付けてみました。「這是北京解放的第三年」という記述が、なまなましい。

*1:フェア対象商品として新書を買ったのははじめて。