工具書と私

書店員の店売配達日記によると、『精選版 日本国語大辞典』(小学館)が出るとの由。全三巻。昨日まで知らなかった。たしかに、「微妙な感じ」です。また、こちらには、それを予約したお客さんの話が書かれています。
『日国(第二版)』は、刊行時、書籍部に予約してかなり安く買うことが出来たのですが*1、全機能を活用できているかと言われると、どうも心もとない。暇にあかせて(というのは嘘)、適当に開いて現われた語釈を読んでみるのですが、それくらいでは、長期記憶として脳に全く蓄積されないのが残念です。
いっそ、A・J・ジェイコブズ(“驚異の百科事典男”)のひそみにならって、頭(『日国』の場合は「あ」行)から読んでみようか、と本気で考えてみたこともあるのですが、しかしそんな時間はない。
私は工具書として使う「辞書」をいくつか持っていて、たとえば『大漢和辭典(修訂第二版)』(大修館書店)がある*2。これは、入学祝品として両親に買ってもらったのですが、「補巻」が出た直後のことで、すでに背が白色で統一されていました。古本かT版で、という選択肢もありましたが、どうせなら函入の新本で、という気持ちが強かった。しかも文学を専門にするという意識が全くなかったので、むしろ「道楽の書」として座右に備えておきたかったのです。この時分はまだ「漢字マニア」でした。
また幸いなことに、『漢語大詞典』(縮印本)は、先輩から頂くことができました。これは学科を変えた現在も、おおいに役立っています。しかし縮印本なので、別巻の索引や「多功能索引」には対応していません。
そういえば最近、知人が『時代別国語大辞典』(三省堂)の上代編と室町時代編をあわせて十一万三千円で入手した、と話しているのを聞いて、羨ましく思ったのでした。
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そうそう、こんな話もあった。一年間お世話になったS先生は、購入されたばかりの『言語学大辞典』(三省堂)を階段の裏に隠していたのだそうですが、「太太*3にばれて、怒られてしまいまして…」。世に収納の悩みは尽きまじ、なんて。

*1:特製手提げ袋(ビニール製ですが)、ルーペ、本棚が特典として附いてきた。

*2:用例は『佩文韻府』などからの孫引きが多く、引用ミスが実は多々ある。

*3:「奥さん」の意。