タカラダニあらわる

◆いま気になっている本は、とても買えそうにないものばかりだ。まずは、今月中旬発売予定の『基本日本語活字見本集成 OpenType版』。「アイデア別冊」との由。それから、『週刊新潮』で広告を見たのだが、新潮社編『新潮日本語漢字辞典』(新潮社)。今年の九月二十七日に発売されるのだそうだ。「漢字は日本語である。」というコピーに心ひかれたが、一体どんな内容の辞書なのだろう。「日本語初の辞典誕生!」だそうだから気になる。詳細カタログを取寄せてみようかな。
◆タカラダニの季節が、またやって来た。きょうも、石畳の上に、数匹の真っ赤なタカラダニがちょろちょろしているのを見かけた。その生態は謎に満ち満ちているらしい。一箇月〜数箇月経つと突然いなくなるのだが、その理由さえ、未だに分かっていないという。刺す、噛み付く、など人体への直接的な被害はないそうだが、しかし、洗濯物などと一緒に、部屋の中へしばしば迷いこんできて、どこに潜んでいるかまったく分からないから困ったものだ。意外とすばしっこいくせに、潰れやすく、しかも潰れると真っ赤になるので、布団につくとたいへん困る。本につくとまた目障りだ。特に、綺麗な図録や上質の紙などに、赤い線がぴいっと走っていたりすると、もううんざりする。拭いても拭いても、なかなかとれないからだ。
◆今年は、安吾の『桜の森の満開の下』を、桜が散るころになって読んだ。呉智英氏のいう「日本三桜小説」(石川淳『山桜』、梶井基次郎桜の樹の下には』、坂口安吾桜の森の満開の下』)のなかでは、やはりこの作品がいちばん好きだ。今年は、実は花見に行く予定があったのだが(約一年前に企画だけはしていた)、結局行けなかった。それで、仕方なく、近所の桜の散るさまを眺めていた。悲しくなった。
森見登美彦の同名短篇も、気になっているところだ。