若き日の笠智衆

『花形選手』(1937,松竹大船)

監督は清水宏。いわゆる「佳作」ではないのだけれど(撮り方は上手いのでしょうが、脚本があまり良くありません)、明るくて愉しい作品です(もちろん、明るいシーンばかりではないのですが)。行軍演習がテーマだから、ふつうは暗くなりがちなのでしょうけど。
演習の途中で、佐野周二(関)と笠智衆(谷。老け役でない)とが、『モロッコ』(1930)のマレーネ・ディートリッヒゲイリー・クーパーの話をしています。それから、日守新一(森)と近衛敏明(木村)のかけ合いの面白さ。
なに、「戦前」の映画だからといって、作品じたいが暗いわけでは決してないのです。
ちなみに、門附の女を演ずるは坪内美子(カフェー出身ですね)。また、先日亡くなった突貫小僧(青木富夫さん)も出ています。