興味津津の「茶飲み話」

最近購った本(刷り数のないものは「初刷」や「初版第1刷」)

松本隆松本隆対談集 KAZEMACHI CAFE』(ぴあ)ISBN:483561514X

2005.4.6初版。
メンデルスゾーン : 劇音楽「真夏の夜の夢」全曲 Op.61
まず白状しておきます。私は「はっぴいえんど」の曲をまったく聴いたことがありません。しかし松本氏は、「ポスト・団塊ジュニア世代」(笑)の者たちにもなじみ深い曲の詞もたくさん書いておられるので、何度となくその名を目にしてきました。また、私の気に入っているアルバムのひとつ小澤征爾&ボストン響 メンデルスゾーン『劇音楽《夏の夜の夢》全曲Op.61』(ドイツグラモフォン)*2の全訳も手がけておられ、その藝域のひろさには驚かされるばかりです。
本書の序には、「自分の考えを相手に強引に押し付けるのではなく、話し相手の内面を糸のように手繰り寄せられたら、それがいい会話だと思う」とあり、松本氏はそれがうまい。自分の意見を語りつつ、相手の意見もうまく引き出しています。
十八年前のものから昨年の「語り下ろし」に至るまで、全部で十六の対談をおさめていて、その対談の相手がすてきです。谷川俊太郎桜井淑敏林静一太田裕美細野晴臣佐野史郎大瀧詠一筒美京平薬師丸ひろ子藤井隆松たか子萩尾望都松任谷由実町田康妹島和世是枝裕和の十六名。音楽関係者はもちろん、漫画家から建築家、映画監督まで多彩な顔ぶれ。気になるところ(特に谷川俊太郎太田裕美細野晴臣大瀧詠一筒美京平薬師丸ひろ子町田康あたり)から読んでいます。町田康との対談では、ちょっと距離感のあるところがかえっておもしろい。そして話は音楽論にとどまらず、ときには世代論*3や文化論にまでおよびます。ただし、「明治はどうだった」とか「戦後はこうなった」とかいった「証言」が的を射ているかどうかは分りかねます。しかしおもしろいことにかわりはありません。

*1:でその存在を知りました。久しぶりに入った古本屋で見つけたので、購入しました。「日本名作シリーズ」(カバー見返しにそのラインナップを載せています)は、ほかに三冊しか持っていません。『教養小説名作選』と『人生の読本』と『捕物小説名作選』。私も、これから意識して集めようかな。

*2:原題は“A Midsummer Night's Dream”ですから、一般的には「真夏の夜の夢」と訳されます。そのうちでも特に、“Song with Chorus”(合唱つきの歌〈夜鶯の子守歌〉)が気に入っています。またこのアルバムでは、吉永小百合さんがナレーションを担当しています。

*3:同世代の人(あるいは同業者?)が相手でも、決して「なあなあ」ではないし、松本氏自身がノンポリだったこともあってか、うさんくさい「『世代』論」に堕してはいません。