JET版金田一

晴れ。
大学へは行かず。夜、アルバイト。
金田一耕助―犬神家の一族・八つ墓村 (単行本コミックス)
帰途、コンビニエンスストアで、横溝正史原作・JET画『金田一耕助 犬神家の一族八つ墓村』(角川書店)を見つけたので、ついつい買ってしまう。このまえ大型書店で探していたのだけれど、なぜかありませんでした。
二〇〇二年に出た『犬神家の一族』『八つ墓村』(初出は一九九九年、一九九六年)を合冊にしたものであるらしく、来月には『獄門島悪魔が来りて笛を吹く他』が、再来月には『悪霊島・本陣殺人事件他』が出るみたいです。『本陣殺人事件』の漫画版なら、他にも読んだことがありますが*1、こちらのほうが原作に忠実なのでしょう。
今川美玖さんによれば、「なんといってもベスト・オブ・金田一を描くのはJET氏だろう」(『金田一耕助 The Complete』メディアファクトリー)とのことで、「数あるJET作品のなかで個人的に好みなのは、『悪魔が来りて笛を吹く』である」とも書いています。この原作は私も好きだ(最初に読んだ「金田一もの」)し、そんなことを言われるとまた読みたくなるではないですか。
さてJET版金田一、一気に読みました。漫画は読みなれていないはずなのに、原作を読んだり映画を観たりしたことがあるからなのか、猛烈なスピードで読み、あっという間に読了。
JETさん本人が、「『八つ墓村』異聞」で「結局最終的に、私が作画することになったわけですが、さて、これで良かったのかどうか、いまでもいささか自信がありません」と書いているように、やはり、『犬神家』にくらべてこの『八つ墓村』には力量不足の感があるのは否めません。とくに後半部の展開。
しかし、映像版がほとんど無視している「典子」を登場させてくれた*2のは有難い。犯人の「死に方」もアレンジしており、松竹版『八つ墓村』ほど大胆ではないにせよ、漫画ならではの「演出」だな、と感心しました。
マニアはどう考えるのか分りませんが、『犬神家の一族』の方はかなりの傑作だとおもいました。

*1:学研の事典シリーズのひとつ、『世界の名探偵ひみつ事典』の一篇として。もちろん子供向けです。原作を読む前や映画(中尾金田一!)を見る前に、「犯人」も「動機」も知ってしまっていたのが哀しい。他に、長尾文子さんによる作品もあるみたいです。

*2:とは云え、原作ほど重要な役まわりではありません。まあ仕方のないことだろうとはおもいます。