某先生に『正韻字體辨微(和刻本)』などを頂く。「字畫ノ失ハ眞ニ沿寫ノ日ニ誤ルニ由ルナリ。俗書ノ傳譌ハ字義ノ辨ヘザルニ由ルナリ」*1ではじまる「序」が、どこか『顔氏家訓』書證篇をおもわせます。
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七月の新刊文庫が更新されています。気になるものをメモしておこう。
・山口昌男『「敗者」の精神史(下)』(岩波現代文庫)
・村井弦斎『食道楽(上)』(岩波文庫)
・鳥山石燕『鳥山石燕 図画百鬼夜行図全画集』(角川ソフィア文庫)*2
・荒俣宏『妖怪大戦争』(角川文庫)
・志村有弘『新編・百物語怪異な話』(河出文庫)
・正岡容『小説 圓朝』(河出文庫)
・水木しげる『生まれたときから「妖怪」だった』(講談社+α文庫)
・飯塚訓『墜落現場 遺された人たち』(講談社+α文庫)*3
・安岡章太郎『僕の昭和史』(新潮文庫)
・松岡正剛『ルナティックス 月を遊学する』(中公文庫)
・高見順『敗戦日記』(中公文庫ビブリオ)
・海野十三 橋本哲男『海野十三敗戦日記』(中公文庫ビブリオ)
・紀田順一郎 東雅夫『日本怪奇小説傑作集(1)』(創元推理文庫)
・安岡正篤『酔古堂剣掃(仮)』(PHP文庫)
・高島俊男『お言葉ですが…(6)』(文春文庫)
・高峰秀子『にんげん住所録』(文春文庫)
今日はどの音楽を聴きながら寝ようか、と悩んだすえに選び出したのが、ルネ・フレミング(ソプラノ)/クリストフ・エッシェンバッハ(ピアノ)の『SCHUBERT LIEDER RECITAL』。LONDONレーベル*4です。
中学二年生のとき、深夜テレビで『華の乱』(1988)を観て、シューベルトの『水の上で歌う D.774(Auf dem Wasser zu singen)』が好きになりました*5。
劇中で使用されているエリー・アーメリング(フィリップス・レーベルで聴けます)もいいけれど、高音でやや外れそうになるルネ・フレミングの弾むような声も好きです。
アーメリングが「母親」のような安心感をあたえてくれる歌声だとすれば、フレミングは「年上の恋人」の歌声といったところか。妙なたとえかたで済みません。でも、ほかにうまい喩えがおもいうかばなかったのです。
*1:「失眞」の部分などがちょっと変ですが、訓読点に従って読みました。
*2:『今昔百鬼拾遺』や『百器徒然袋』は入っているのか。国書刊行会版をもっているので、今のところ買う積りはないのですが、出来がよかったら買うかもしれない。
*3:『墜落遺体』の続篇というべき内容の本。『墜落遺体』は名著です。心を動かされました。
*4:「はまぞう」に登録されているものは、DECCAレーベルに「移籍」した後の国内盤です。
*5:有島武郎(松田優作)が与謝野晶子(吉永小百合)にこの曲(詞の内容も伝える)を聴かせます。曲は美しいけれども、歌詞は悲しいのですね―とかいうようなことを、たしか吉永小百合が云ったはず。原詩(詞)はシュトルベルク。エンドロールでもこの曲が流れます。