過剰回帰

 石割平ほか『はじめに喜劇ありき』(ワイズ出版)という本がひじょうに気になる。副題が、「清水宏小津安二郎山中貞雄伊丹万作、そして斎藤寅次郎」。斎藤寅次郎が「別格」としてあつかわれている。同書刊行は、「アチャラカ、ドタバタ、ナンセンス! 喜劇の神様 斎藤寅次郎」という特集上映にあわせてのことなのでしょうけれども、ぱらぱらと見た感じでは、手抜きの目立つような編集ではありません。
 「ワイズ出版」は、食指の動く映画本をたくさん作ってくれてそれはたいへん有難いのですが、もうすこし廉価な本も出して欲しいな(隴を得て蜀を望むの類か)。
 昨日は書き忘れていたのですが、『豚の戰爭』というサイトの「聯載」といふのは過剰な回帰形ではないかしらといふ話がおもしろかった。「誤想回帰形」、または「過剰回帰形」とでも呼ぶべきものとしては、ほかに一人称の「余」を「餘」と書きかえたり、「欠伸」を「缺伸」と書きかえたりするものがあります*1

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 チャップリンの「ティティナ」が使用されているCMをちらと見ました(というか最後のほうを偶然見ただけ)。見たのですが、一回きりで、それが何のCMなのか分りませんでした。『モダン・タイムス』は好きな映画なので、なんだか気になります。ご存じの方がいらっしゃったら、ご教示下さいませ。

*1:もっとも、「聯」と「連」はほぼ同義なので、事情がことなるのかもしれませんが。ちなみに、「連関」といったようなものは、「聯關」と表記されることが一般的だったようで、『日国』の用例もだいたいそうなっています。